二重チェックの盲点も有病率
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2024.04.14


 感染者率50%の弱毒細菌について陰陽検査Aを用いて感染者か非感染者の判定を行います。陰陽検査A は感度も特異度も 95% です。
   したがって、
      感染者だと判定された人のうち非感染者である確率( 偽陽性率 )は、
         125 ÷ 2500 ≒→ 5.0 %
      非感染者だと判定された人のうち感染者である確率( 偽陰性率 )は、
         125 ÷ 2500 ≒→ 5.0 %

 感染者率10%の弱毒細菌について陰陽検査Aを用いて感染者か非感染者の判定を行います。陰陽検査A は感度も特異度も 95% です。
   したがって、
      感染者だと判定された人のうち非感染者である確率( 偽陽性率 )は、
         225 ÷ 700 ≒→ 32.1 %
      非感染者だと判定された人のうち感染者である確率( 偽陰性率 )は、
         25 ÷ 4300 ≒→ 0.58 %
                ※ この数値はこの後何度も登場します。

 このように、有病率が50%でない場合は、偽陽性率(%) は (100−特異度) と異なり、偽陰性率(%) は (100−感度) と異なります。


 というわけで、検査の現実的精度( 陽性適中率 と 陰性適中率 )を上げるために、二重チェック検査法を取り入れることがあります。特に、陰陽検査Aで非感染者と判定された人の偽陰性の確率を低くするために、追加検査として、陰陽検査Bが行われることがあります。
              ※ 検査の理論的精度とは、感度 と 特異度 のことです。
 それでも、有病率の低い疾患ではその病気が疑われたとしても、その病気である確率は意外と低いものです。しかし、二重チェックしているのだから精度は高いのだという固定観念があるために、そのことを見落としてしまうことがよくあります。次に揚げるC君の考え方は、有病率が50%の場合にしか当てはまらいのです。
 あれあれ !? 二重チェック検査法の精度が陰陽検査A単独の結果と似ています。2つの検査共に陰性の人を非感染者と判定することにしても、偽陰性率は陰陽検査A単独判定と全く変わりがありません。

 このC君の勘違いを是正するには、2つの方法があります。

 その1つは、陰陽検査Aで陰性だった人のうち感染者と非感染者との比率を 0.05 : 0.95 と考えたのが誤りだったと指摘する方法です。陰陽検査Aで陰性だった人のうち感染者と非感染者との比率は 0.0058 : 0.9942 なのです。なぜかと言うと、    したがって、
      陰陽検査A(−) かつ 陰陽検査B(+) の人が感染者である確率は、
         52.2 ÷ 1046.2 ≒→ 4.99 %
      陰陽検査A(−) かつ 陰陽検査B(−) の人が感染者である確率は、
         5.8 ÷ 8953.6 ≒→ 0.065 %


 2つ目の方法は、最初からゆっくりと順序立てて考えることです。