地獄の足蒸し
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2012.05.04


  ここ鉄輪は、 いたるところから水蒸気や熱湯や熱泥が噴出し、 時には水蒸気爆発が起こって、「 地獄 」と言われていました。 別府には鶴見岳という活火山があり、 そのマグマによって暖められた地下水やその水蒸気が、 ふきこぼれるようにして地上に上がり湯気となり温泉となります。 活火山は巨大地震こそ引き起こすことなかれ、 さまざまな災害を起こします。 鎌倉時代に、「 地獄 」にやって来た時宗の教祖で道後温泉付近の出身である一遍上人が、 自然の水蒸気を利用して「 蒸し風呂 」を開発し、 鉄輪温泉が開かれたと言い伝えられています。 それ以来、 鉄輪は湯治場とうじばとなり、 特に冬場には各地から多くの人が集まります。

  妻が2人目の子供を妊娠してちょうど今の私のお腹のようになっていたころ、 家族で観光バスの「 地獄めぐり 」をしたことがあります。「 かまど地獄 」の鬼の前で長女が急に泣き出し、 次の「 鬼山地獄 」でも口を開けたワニを見て号泣しました。 その後に訪れた「 龍巻地獄 」は鉄輪温泉から少し離れた所にあり山林を抜けて行きますが、 何処に連れて行かれるのだろうと不安になり、 バスの後方座席の上で急に宙に浮いたときのようにゾクゾクっとしたのを覚えています。 龍巻地獄は頻回に噴出する「 間欠温泉 」です。 地下に空洞があって、 そこに地下水が集まってきてマグマに熱せられて水蒸気になり、 内圧が高まると地上に繋がる導管を通って噴出します。 導管の途中の比較的地面に近い所には、 多分もう1つの空洞があって、 そこにも地下水が流れ込んでいるものと考えられます。 水蒸気が爆発的に噴出するときに導管を塞いでいたこの水を一緒に噴き上げるのではないでしょうか。

  石菖せきしょうという香りのある薬草が敷かれた蒸し風呂に入った後、 自然の水蒸気による蒸し料理を体験しました。 2人前1500円で「 地獄蒸し釜 」の中に、 食材を入れた3段重ねのザルを入れました。 卵、 なす、 しめじ、 サザエ、 カニ、 イカ は15分。 玉ねぎ、 サツマイモ、 トウモロコシ は30分です。 その待ち時間に「 足湯 」ならぬ「 足蒸し 」を体験しましたが、 私たちが利用した所の水蒸気は非常にエネルギーが強くて、「 アッチチッチ! これぞ本当の地獄の足蒸しだね。」と、 周囲の人たちと打ち解けました。 時間がきて釜の蓋を開けてザルを取り出すときは、 傾かないようにしなければなりませんが、 眼鏡が一瞬にして曇って大変でした。 子育ての終わった中年夫婦のゴールデンウィークの旅の1コマです。