場のエネルギー
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2013.07.15
5円玉と同形同大の磁石があり、 表がN極 裏がS極 になっています。 これを「 5円磁石 」と呼びましょう。 500円玉と同形同大の磁石があり、 表がN極 裏がS極 になっています。 これを「 500円磁石 」と呼びましょう。
「 500円磁石 」を表を上にして机の上に置きます。「 5円磁石 」の穴に竹ヒゴを通し、 竹ヒゴを「 500円磁石 」の真ん中に垂直に立てます。 この時、「 5円磁石 」の表が「 500円磁石 」の方を向くようにします。 すると、 ある高さのところで「 5円磁石 」は宙に浮いて静止します。 この状態を 状態A とします。
「 5円磁石 」を手で持って、 半分の高さまで「 500円磁石 」に近づけます。 このときの状態を 状態B とします。 そこで手を放しますと、「 5円磁石 」は上方に移動して、 減衰振動をした後、 元の位置で静止します。 この状態を 状態C とします。
状態A から 状態C までの間のエネルギーの出入りを見てみましょう。
状態A から 状態B まで、 手は「 5円磁石 」に対して仕事をしますので、 人の持っている化学エネルギーが「 5円磁石 」の位置エネルギーに変換されたと言えます。 ただし、 位置エネルギーといっても、「 一様な重力場が作る位置エネルギー 」と「 磁場が作るポテンシャルエネルギー 」と2つあり、 前者よりも後者の方が変化量が多くなっています。 状態A から 状態B まで、「 一様な重力場が作る位置エネルギー 」は減少しており、「 磁場が作るポテンシャルエネルギー 」は増大しています。 状態B から 状態C までは、「 一様な重力場が作る位置エネルギー 」は増大して元の量まで戻り、「 磁場が作るポテンシャルエネルギー 」は減少して元の量まで戻っています。 この間、 トータルで言うと、 人の持っている化学エネルギーが「 5円磁石 」の周囲の空気を暖める熱エネルギーに変換されたことになります。
ここで、 ある疑惑が浮かんできます。 それは、「 500円磁石 」は「 5円磁石 」に対して仕事をしたのではないかということです。 状態B から 状態C までは、「 500円磁石 」の「 5円磁石 」に対する磁力によって「 5円磁石 」が移動したのだから、「 500円磁石 」は「 5円磁石 」に対して仕事をしたのではないかという考えです。 それは、 恒星の惑星に対する重力によって惑星が加速度運動をするのだから、 恒星は惑星に対して仕事をし続けているという考えと同じです。 仕事をし続けるということは、 自分の持っているエネルギーを他の物質に渡し続けているということなので、 恒星は次第に質量を減らしていっているということになり、 誤った考えであることがわかります。
そこで、 位置エネルギーそのものが、「 500円磁石 」や 恒星 が持っているエネルギーを表しているのだと考える方法があります。「 500円磁石 」や 恒星 は周囲の空間にエネルギーを蓄えているとする考え方です。 エネルギーが蓄えられた空間に物質が存在して、 その物質が場による力のために加速度運動を行った場合、 位置エネルギーの一部はすべて運動エネルギーに変化し、 空間に摩擦を生じさせるような他の物質が存在する場合は、 位置エネルギーの一部は運動エネルギーと熱エネルギーに変化します。 この場合、 位置エネルギーは減少しますが、 位置エネルギーを生みだす場を生みだしている物質の質量は減りません。