血圧計のしくみ
医療と物理学 へ戻る
ばいおりんの日常的物理学文集 へ戻る
2012.05.25


 「 血圧計を買おうと思うのですがどんな物がいいですか?」という質問には、「 安価な物でもいいですから、 上腕で測定する物をお勧めします。 動脈硬化のある人は心臓から遠い血管で測ると低目になるからです。」と答えています。

  血圧は閉鎖回路を流れている血液が血管に及ぼす圧力です。 心臓が収縮した時が最も高く、 心臓が拡張した時が最も低くなります。 前者を収縮期血圧、 後者を拡張期血圧と言います。 拡張期血圧は、 ゼロや負の数ではありません。 心臓が拡張して血液を自分の中に吸いこんでいるときは、 動脈側には逆流防止弁が付いているので心臓内の血圧と隔絶されるからです。 血管自体や血管を取り巻く組織は血圧に抵抗します。 すると血流量が減少します。 電気回路の場合は、 抵抗が大きい時は、 電流が少なくとも電圧が高ければ、 その二つを掛け合わせた電力が確保されるためOKなのですが、 体の場合は血流量が確保されることが最大事になりますので、 血流量が少なくて血圧と抵抗の2つが大きいという事態は最も避けなければなりません。
     

  でもご心配なく、 心臓や血管には自律神経が支配していて、 血流量が少なくならないように抵抗や血圧を調整してくれています。 しかし、 抵抗を低下させることが困難になってくると、 血流量の確保はもっぱら血圧を上昇させることになります。 すると、 血管は血圧に抗して益々抵抗を増し、 血管抵抗と心臓ポンプ力の悪循環に陥り重症動脈硬化症や心不全になってしまいます。


 血圧は、 自宅で起床1時間後に測定することが勧められています。 血圧の左右差がある場合は高い方の腕で測定します。 その時の収縮期血圧の基準値は で、 拡張期血圧の基準値は です。 測るたびに少々変化しますが異常ではありません。 気になる方は3回測って真ん中の値を取るといいです。 血圧は時々刻々と変化しています。 それも、 時間の経過に伴って収縮期血圧と拡張期血圧の間を行ったり来たりして、 サインカーブのような周期的変化をしています。 腕に血圧計のカフを巻いて、 カフに収縮期血圧と拡張期血圧の中間値の圧力をかけますと、 血管がドッキンドッキンと脈打ちます。 それは、 締め付けられた血管内を血液が流れたり止まったりするからです。 これを聴診器で聞いた音を「 コロトコフ音 」と言います。 カフ圧を収縮期血圧以上にしますと血流はストップします。 また、 カフ圧を拡張期血圧以下にしますと常時血液が流れるようになります。 その時、 そこに聴診器を当てても血液の流れる音を聞くことはできません。 血圧計は、 ロシア軍医コロトコフによって1905年に発明されました。


  1973年、 聴診器のいらない血圧計をオムロンが発売します。 持ち運びやすいように水銀圧力計ではない円型の圧力計が用いられています。 手動でカフ圧を変動させながら、 マイクがコロトコフ音を検出したときに点滅するランプを見ながら圧力計の針の示す目盛りで血圧値を読み取るものです。 病棟の看護婦さんは大助かりでした。

  1980年代半ばには、 コロトコフ法に代わってオシロメトリック法が登場し、 家庭用自動血圧計が大量に生産されるようになりました。 圧力表示もデジタル化し、 カフ圧変更もオートマティックです。 オシロメトリック法とは、 カフを減圧する過程で生じる「 血管脈圧 」を用いて血圧を測定するものです。「 血管脈圧 」とは、 血管内の血液量が増加するとその血管が拡張しますが、 その変化が体表面に及ぼす圧力のことです。 カフを徐々に減圧していったときに、 血管脈圧が生じるときのカフの圧力が収縮期血圧、 血管脈圧がなくなるときの圧力が拡張期血圧です。 この方法だとカフ自体が圧力センサーとして作動しますので、 感度が良いのです。


( 参考サイト )
       オムロンヘルスケアー 自動血圧計1億台達成
               http://www.healthcare.omron.co.jp/bpm/history/01.html