物質に熱エネルギーを与えても温度が上昇しないときは、 その物質が持つエントロピーは必ず増加しています。 その例として、 固体の融解 や 気体の等温膨張 があります。
エントロピーとは、「 住み分けの程度の低さを表すもの 」であり「 混ざり具合( 乱雑さ )の指標 」であります。
自然状態では、 物理学においては、 住み分け状態から混合状態に向かう法則があり、 その変化は一方通行であり不可逆的なものです。 これを「 エントロピー増大の法則 」と言います。
カルノーサイクルは、 理想的な高い熱効率の熱機関のモデルです。 カルノーサイクルは、 外部の高熱源から熱を受けとりながら外部に仕事を行い、 外部の低熱源に熱を捨てながら元の状態に戻るというサイクルです。 カルノーサイクルは、局所系の体積と圧力の準静的変化を表すものです。
カルノーサイクル :

注射器内の気体の
等温膨張 では、 閉じ込められた気体が注射器のピストンに仕事をしますが、 その仕事の分だけ外部から気体に熱エネルギーが流入されます。気体の内部エネルギーは不変です。
(1)= a → b
注射器内の気体の
等温圧縮 では、 注射器のピストンが閉じ込められた気体に仕事をしますが、 その仕事の分だけ気体から外部に熱エネルギーが放出されます。気体の内部エネルギーは不変です。
(3)= c → d
注射器内の気体の
断熱膨張 では、 閉じ込められた気体が注射器のピストンに仕事をしますが、 その仕事の分だけ気体の内部エネルギーが減少します。
(2)= b → c
注射器内の気体の
断熱圧縮 では、 注射器のピストンが閉じ込められた気体に仕事をしますが、 その仕事の分だけ気体の内部エネルギーが増加します。
(4)= d → a
カルノーサイクルは熱効率が良い現実には存在しない理想の熱機関の仕組みです。熱効率は次の式で与えられます。
熱効率 = ( 閉じ込められた気体がする仕事 − 閉じ込められた気体にされた仕事 )
÷ 閉じ込められた気体に流入した熱エネルギー
(1)の 等温膨張では、 (
気体の内部エネルギーの変化 = 0 )
気体は熱エネルギーを吸収し、仕事をします。
圧力( P )は次第に減少し、 体積( V )は次第に増加します。
温度( T )は変化せず、 エントロピー( S )は次第に増加します。
* 温度の単位は、 絶対温度の ケルビン( K )です。
気体が注射器のピストンにした仕事( W )は

気体に流入してきた熱エネルギー( Q )は

外から入ってきた熱エネルギーが注射器のピストンを押す仕事の力学的エネルギーに変換されて消滅したにも関わらず、 エントロピーが増大したということは、 エントロピーとは粒子の運動のようなものではなくて、 状態を表す量であると言えます。
(3)の 等温圧縮では、 (
気体の内部エネルギーの変化 = 0 )
気体は熱エネルギーを放出し、仕事をされます。
圧力( P )は次第に増加し、 体積( V )は次第に減少します。
温度( T )は変化せず、 エントロピー( S )は次第に減少します。
(2)の 断熱膨張では、 (
気体の内部エネルギーの変化 < 0 )
気体は熱エネルギーを吸収も放出もせず、仕事をします。
圧力( P )は次第に減少し、 体積( V )は次第に増加します。
温度( T )は次第に低下し、 エントロピー( S )は変化しません。
(4)の 断熱圧縮では、 (
気体の内部エネルギーの変化 > 0 )
気体は熱エネルギーを吸収も放出もせず、仕事をされます。
圧力( P )は次第に増加し、 体積( V )は次第に減少します。
温度( T )は次第に増加し、 エントロピー( S )は変化しません。
さて、 次の2つの式を比べると、 面白いことが判ります。

「
温度は圧力に相当し、 エントロピーは体積に相当する。」
体積が等しくて温度の異なる2つの気体を接触させると、 熱エネルギーは温度の高い方から低い方へと流入して温度は等しくなり、 エントロピーの合計は増大します。(
熱力学の第2法則 = エントロピー増大の法則 )
ならば、 エントロピーが等しくて圧力の異なる2つの気体を接触させると、 圧力の高い方は低い方に対して仕事をして圧力は等しくなり、 体積の合計が増大するはずです。