原爆と水爆の違い
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2017.09.25
長崎に落とされた原爆の材料はプルトニウムで、 広島はウランでした。 ウランの中でも核分裂の連鎖反応を起こすのは 放射性同位体 ウラン235 です。 天然ウランの99%以上を占めるウラン238 は、 中性子の捕獲率が高く、 その結果、 ウラン235 の核分裂を妨げます。
原子力発電の材料となるウランは、 ウラン238 : ウラン235 ≒ 96 : 4 です。 一方、 原爆の材料となるウランは、 ウラン238 : ウラン235 ≒ 10 : 90 です。
原爆( 原子爆弾 )は、 起爆剤が火薬であり、 核分裂 を起こして多量のエネルギーを放出させますが、 水爆( 水素爆弾 )は、 起爆剤が原爆であり、 核融合 を起こして多量のエネルギーを放出させます。 威力は後者の方が1000倍以上もあるとのことです。
水素爆弾の核融合は太陽が行っている核融合と同じです。
これからその核融合について詳しく見てみましょう。
水素の原子核 = 陽子
重水素の原子核 = 陽子 + 中性子
ヘリウム3 の原子核 = 2×陽子 + 中性子
ヘリウム4 の原子核 = 2×陽子 + 2×中性子
水素爆弾の核融合は、 まず、 2個の水素の原子核が核融合して、 重水素の原子核と陽電子とニュートリノができ、 その重水素の原子核と水素の原子核が核融合をして、 ヘリウム3の原子核とガンマ線光子ができます。 陽電子は電子と反応して、 2つのガンマ線光子ができます。 ここまでの核融合をまとめると次のようになります。
2×陽子 → ( 陽子 + 中性子 ) + 陽電子 + ニュートリノ
( 陽子 + 中性子 ) + 陽子 → ( 2×陽子 + 中性子 ) + ガンマ線光子
陽電子 + 電子 → 2×ガンマ線光子
以上の3式を辺々加えると、
3×陽子 + 電子 → ( 2×陽子 + 中性子 ) + ニュートリノ + 3×ガンマ線光子
上記の式の辺々を2倍すると、
6×陽子 + 2×電子 → 2×( 2×陽子 + 中性子 ) + 2×ニュートリノ + 6×ガンマ線光子
・・・・ @
続いて、2つのヘリウム3 の原子核が核融合して、 ヘリウム4( 一般的なヘリウム )の原子核と2つの水素の原子核ができます。 ここまでの一連の反応は P-Pチェーンと言われます。
2×( 2×陽子 + 中性子 ) → ( 2×陽子 + 2×中性子 ) + 2×陽子
・・・・ A
@ と A の2式の辺々を加えると、
4×陽子 + 2×電子 → ( 2×陽子 + 2×中性子 ) + 2×ニュートリノ + 6×ガンマ線光子
この式を見ると、 4個の水素原子核から1個のヘリウム原子核が作られる反応であることがわかります。