銀河鉄道の天象儀
建築と物理学 へ戻る
ばいおりんの日常的物理学文集 へ戻る
2011.07.01


  先日、 妻と2人で県立総合科学博物館に行った。 国立や県立の博物館や美術館は一流建築アートばかりであり、 建物を見学するだけでも価値がある。 この博物館は黒川紀章建築都市設計事務所の設計によるものであった。 鉄筋コンクリートの建物である。 鉄筋コンクリートは19世紀半ばにフランスで考案されたものらしい。 圧縮力に強く引っ張り力に弱いコンクリートとその反対の鉄筋との相補的な組み合わせのため、 頑丈で変形しにくい。 また、 鉄筋コンクリートはシェル構造といわれるドーム型建造物の自在な曲面を実現するにも優れている。 鉄筋コンクリートが登場する前は、 ドームはレンガを幾重にも積み上げて造られていた。

                        


  世界で2番目に大きなドームを持つプラネタリウムで、 夏の星座の解説を聞いた後、「 銀河鉄道の夜 」というプラネタリウム映画を見た。 1985年公開の擬人化された猫が出てくる長編アニメ 映画とは違い、「 銀河鉄道の夜 」のダイジェスト版であった。 しかし、 その臨場感というものや半端ではなかった。 実際に汽車に乗っているような感覚、 川面を低く飛ぶグライダーからの風景、 スーッ と舞い上がっていく空からのカメラアングル。 凹球面のスクリーンいっぱいに映し出されるアニメーションが、 これほど迫力あるものとは。

  宮沢賢治は詩人童話作家とばかり思っていたが、 作曲もしていた。 映画の中で 彼が作詞作曲をした「 星めぐりの歌 」の曲だけが流れていたが、 いいなあと思って聞いた。 そして、 映画が終了し場内が明るくなってから流された 加賀谷玲 編曲/MIGA 歌 によるこの曲はすばらしかった。 彼は、 チェロを習ったり、 レコードを買い集めたりと、 結構音楽好きであったようだ。

  銀河鉄道の旅は、 北十字( 白鳥座 )から 南十字( 日本では見えない )への旅であった。 天の川に沿った星座をモチーフにして、 いくつかのお話が掲げられているのだ。 その一つ、 赤く燃える蠍の話が紹介された。「 銀河鉄道の夜 」が発表されたのは 昭和8年( 1933年 )であるから、 この当時には、 銀河系が凸レンズ状の薄っぺらな渦巻き状であり、 天の川は、 地球から見て銀河系内の天体の密度が最も高いところであるということは、 日本の知識人たちには常識になっていたものと思う。 世界的には、 銀河系の構造が明らかになったのは、 1922年頃だとされている。

  館内の売店で、 先ほどの デジタルファインアーティスト KAGAYA による映画のサウンドトラックCDを購入し、 早速、 帰りの車で再び夢の世界へと入って行った私の傍で、 妻は本当の夢の中であった。


     

               星めぐりの歌 の MMLファイル ( 別窓 )へ