オルゴール館
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2012.04.012


  楽譜を見ると、「 たり たり たり たり らん 」ではなく、「 たり たり たり たり らん 」です。 ベートベンの「 エリーゼのために 」といえば、 ピアノ演奏よりもオルゴール演奏の方が頭に響いてくる人が多いかもしれません。 オルゴールの主要部品は、 櫛歯、 シリンダー( とげのついた回転ドラム )、 ゼンマイバネ、 箱 です。

  日本の主要な森や湖の観光地には、「 オルゴール館 が建てられている所が多く、 そこでは、 オルゴールを始めとする、 収集されたクラシックなアナログ式自動演奏楽器の生演奏を聴くことができます。 自動演奏される楽器には、 ピアノ、 小型パイプオルガン、 アコーディオン、 ドラム、 はたまた、 バイオリン まであります。 最近では、 バイオリンを弾くロボットが登場していますが、 これもアナログ式自動演奏楽器の仲間です。

  14世紀に、 教会でたくさんの鐘を使って「 時を告げる曲 」が自動演奏されたことが、 自動演奏の始まりだと言われています。 鐘( ベル )を揺さぶって音を出すために、 大きなシリンダーが使われていたそうです。 その後、 ゼンマイバネが発明されると、 19世紀当初から、 スイスでは時計が小型化して懐中時計の生産が始まり、 さらに時計職人がオルゴールを作るようになります。 オルゴールはシリンダー式に始まりますが、 1楽器1曲からレパートリーを増やすために、 19世紀末には、 ディスク式も開発されました。 当時作られたものは、 荘厳な音が出るように洋箪笥のような大型のものであり、 ディスク式オルゴールは、 薄い金属の円盤に小さな穴をいくつも開けたものを装着して回転させ、 穴にひっかかった歯車が、 櫛歯を弾いて音を出すようなしくみになっています。

  そのころから、 小型自動演奏式パイプオルガン( オルガ二―ト )も作られるようになります。 オルガンは、 パイプ式( 穴を通過する空気の振動 )、 リード式( 弁の振動 )、 電子式 に分かれます。 アコーディオンは、 リード式ハンディオルガンです。 オルガ二―トは、「 ふいご 」を使って、 すべてのパイプに空気が流れるようになっています。 しかし、 それぞれの空気の通り道の途中には弁があり、「 ふいご 」による空気圧によって空気の通り道を塞いでいます。 また、 弁に空気圧をかけるための空気の道には、 途中に空気を逃がす穴があり、 そこはロール紙で封鎖されています。 そこで、 ロール紙に小さな丸い穴をあけて紙を右から左へと巻き取っていくと、 その穴が空気の逃げ穴を通過する時に空気圧が下がって弁が開き、 パイプに空気が流れて音が出るようなしくみになっています。 オルガ二―トは、 小型のディスク式オルゴールと同様に今でも制作されており、 高価な値段で売られています。

  六甲山の麓は今、 桜の真っ盛りです。 以前に私が定期往診をしていた高台のマンションや団地にも春が来ていました。 久しぶりに再会した末娘と山頂近くにある「 オルゴール館 」に行ってきました。 いろんな自動演奏楽器の演奏を聴かせていただきましたが、 中には、 純正調で音色もよくて、 ほれぼれするようなオルゴールの演奏がありました。 オルガ二―トには触らせてもらいましたが、 一定のスピードでハンドルを回すのは難しかったです。 また、 ここに紹介させていただいたような科学的文化歴史学的知識を与えていただき、 満ち足りた1日を過ごさせていただきました。 今朝早く、 長時間の運転をして帰って来ました。 忘れぬうちにと、 春の日差しの中でこの原稿を書いていますが、 今、 街頭スピーカーからは、「 おはなはん 」がオルゴールの演奏に乗って、 いつものように正午の時を告げています。