炭素繊維は鉄と比べて強度が10倍で、重さは4分の1です。炭素繊維でできた針金様の円柱で直径 30 cm くらいの輪を作ります。そして真ん中に重りを串刺しにした炭素繊維の針金様円柱を入れて図のようにします。これを回転させずに水平な床の上に置き、倒れないようにわずかに隙間を開けて前後からガラス板で挟んだ場合、A 〜 D のどんな置き方をしても輪は転がって最終的には E の状態になって静止します。それは転倒するからです。転倒とは 「 支点の高さ − 重心の高さ 」が可能な限りの最大値に向かおうとする現象です。
A
B
C
D
E

ガラス板を外してから、立てた10円玉を指で弾いて回転させるように、このわっかを輪と床の接点を通る鉛直な直線を軸に高速回転させると、B 〜 E のどんな置き方をしても輪は A の状態になって回転するようになります。高速回転する物質は転倒と真逆の現象を起こすのです。この原理を使ったのが逆立ちゴマです。また、ゆで卵を横にして高速回転させるとゆで卵が立って回るようになるのも、この原理に因ります。
この原理の仕組みについて、Yahoo!JAPAN の AIアシスタント は次のように回答しました。
逆立ちゴマは、回転することで重心が上がり、最終的に軸を下にして安定する不思議なコマです。この現象は、床面との摩擦によって回転エネルギーの一部が位置エネルギーに変換され、重心が最も高い状態で安定しようとする性質によるものです。
逆立ちゴマの仕組み
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逆立ちゴマは、球に近い形状をしており、重心が球の中心よりも低い位置に設計されています。回転させると、床面との摩擦が働き、コマの回転軸が徐々に傾き、重心が上がっていきます。
逆立ちゴマの運動の段階
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回転開始: 軸を上にして回転させます。
軸の傾き: 回転が速いと軸がぶれ始め、コマの胴の側面が下になります。
重心の上昇: 摩擦により回転エネルギーが失われ、重心が上昇します。
逆立ち: 最終的に軸の先端が床につき、胴が床から離れて逆立ち状態で安定します。
回転の終焉: 回転が弱まると再び軸がぶれ、軸を上にして止まります。
逆立ちゴマが機能する条件
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重心の位置: 重心が球の中心より下にあること。
摩擦力: 床とコマの球面の間に摩擦力が働くこと。
回転の勢い: ある程度の勢いで回すこと。
初期の傾き: 最初は軸を鉛直方向からあまり傾けないこと。
自作で原理を学ぶ
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ゆで卵を回す。
クヌギの実に爪楊枝を刺して回す。
ビー玉を四面体状に接着して回す。
針金を加工して作る。
注意点
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逆立ちゴマの運動の力学的な解析は複雑です。重心が最も高い状態で安定するわけではないことに注意が必要です。
でも、これは原理の本質の説明にはなっていないと思います。
そこで、私なりに考えてみました。
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E の状態から始めます。輪と床の接点を通る鉛直な直線を軸に高速回転させます。
輪と床との接点と輪の重心とを結ぶ直線を軸にして輪は常に自転すると考えます。
輪の質量分布が一様でなく厳密に左右対称になっていないので、遠心力の対称性が崩れるため、自転を開始してまもなく、輪は転倒を開始します。そこで極端なのですが、輪が D の状態になったとしてください。

接点が移動して回転軸が移動すると、回転すると床にぶつかるようになり、つんのめってわずかに飛び跳ねなければならなくなります。
接点の移動に伴う輪の床との接点の移動方向への転倒は、輪に最初に与えた自転によるジャイロ効果によって打ち消されます。
以上のことを繰り返していくうちに C → B の状態になり、そして最後は A の状態になって安定して回転するようになります。
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