歯車を単純に噛み合わせたのでは、 同じ仕事をするときに必要な力の大きさを変えることはできません。 しかし2つの歯車を軸で繋いで用いると、 力を変化させることができます。 変速ギア付きの自転車のしくみの大切な所は、 ペダルとペダル側の歯車が同軸で繋がっており、 後輪と後輪側の歯車が同軸で繋がっている所です。 そのおかげで、 チェーンで間接的に噛み合わされた後輪の歯車の大きさを変えることによって、 自転車を走行するためにペダルを漕ぐときに必要な力の大きさを変化させることができるのです。
噛み合う2つの歯車の、「 大きい方の歯車の歯数 」の「 小さい方の歯車の歯数 」に対する比率を、 ギア比 といいます。 ギア比は、 大きい方の歯車が1回転したときに小さい方の歯車が何回転するのかを表しています。 とういうことは、 大きい方の歯車を1回転させるためには小さい方の歯車を何回転させればいいのかを表しているということです。

( 問題1 )
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半径
の比較的大きな歯車に 質量
の物質をつけた紐を巻きつけ、 半径
の比較的小さな歯車と噛み合わせます。 物質が静止するためには、 小さな歯車に巻きつけられた紐を真上に向かってどれくらいの力で引っぱなければならいでしょうか?

( 解説 )
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このとき、 大きな歯車に働く力は、 歯車の最右点おける物質の重力による下向きの
と、 歯車の最左点における小さな歯車による下向きの
であり、 力のモーメントの合計は
になっています。 また、 小さな歯車に働く力は、歯車の最左点における上向きの
と、 歯車の最右点における大きな歯車による上向きの
であり、 力のモーメントの合計は
になっています。大きな歯車に巻きつけられた物質を
持ち上げるためには、 小さな歯車に巻きつけられた紐を
引っぱらなければなりません。 歯車の回転数はこのときの仕事に無関係です。-
問題1 の状況を少し変えてみます。 もう1つの半径
の歯車を用意して、 小さな歯車と同軸で繋ぎます。 上から見ると3つの歯車の位置関係は右下の図のようになります。 このとき吊り合うようにするためには、 新たに用意した歯車に巻きつけた紐に、 どれだけの質量の重りを付ける必要があるでしょうか?

これは、 物質の質量に ギア比の逆数 をかけたものです。( 解説 )
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吊り合うためには、 小さな歯車の最右点において大きな歯車に対して下向きに
の力を作用させなければなりません。 そのためには、 小さな歯車には、 時計回りに
の力のモーメントを作用させなければなりません。 そのためには、 新たに用意した歯車に時計回りに
の力のモーメントを作用させなければなりません。 そのためには上記の質量の重りが必要になります。大きな歯車に巻きつけられた物質を
持ち上げるためには、 新たに用意した歯車に巻きつけられた重りを外し、 紐を
の力で
引っぱらなければなりません。 このとき、 大きな歯車に巻きつけられた物質の持つ位置エネルギーの増加分は
であり、 エネルギー保存の法則より、 次の式が成り立ちます。
原動歯車を歯車に巻きつけた紐を引っ張って回転させる場合は、 原動歯車の直径に関係なく、 原動歯車が噛み合っている介達ギア ( 軸で繋がっている2つの歯車 ) が1回転したときの作用歯車の回転数が少ないほど、 仕事がスローペースにはなってしまいますが、 原動力は小さくてすみます。

原動歯車の軸に力のモーメントを作用させて回転させる場合は、 上記の事柄も成り立ちますが、 その上に、 原動歯車の直径が小さいほど、 仕事がスローペースにはなってしまいますが、 原動力は小さくてすみます。

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