心臓の拍動
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2012.07.28


  心臓には4つの部屋があるが、 心臓の拍動による血液循環作用に関しては、 左心室が8割方を占めていると考えてよい。 左心室の心筋細胞がいっせいに興奮することで、 左心室全体が収縮する。 したがって、 循環動態を示す図では、 本来右心室と左心房の間にある肺循環が、 心臓の上流にあるように描かれることが多い。

  心臓収縮の指揮をとっているのが、 右心房の頂部あたりにある洞房結節から放たれて心臓内を伝わる電気信号である。 洞房結節は、 安静時には1分間に約72回と定期的に電気信号を発している。 右心房内を伝わった電気信号は、 心室中隔上部にある房室結節に伝わり、 心房収縮と心室収縮のタイムラグを作るためにそこで少しだけ間をおいたら、 房室結節直後のヒス束から出るプルキンエ繊維でできた刺激伝導系によって心室内を一瞬にして伝わる。

  心臓収縮の合図となる電気信号が心室の心筋細胞に届くやいなや、 まずNaイオンが心筋細胞内に流入してくる。 そしてそれに引き続いてCaイオンが流入してくる。 このときに変動する細胞内の電位を活動電位という。 また、 Naイオンが急速に細胞内に流入することを 脱分極 という。 脱分極は心筋細胞の興奮状態を表す。 心筋は横紋筋で興奮すると収縮する。 心筋細胞内に流入したNaイオンはゆっくりと細胞外に排泄されるが、 これを再分極という。 再分極が終わりに近づいて心筋細胞がリラックスすると、 細胞内はマイナスの電位になる。

  心電図は、 心臓収縮の合図となる電気信号を観察しているのではなく、 心筋細胞の脱分極の集まりを観察しているのであり、 最も大きなQRS波は左心室の心筋細胞の脱分極の集まりを表している。