標高による変化
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2012.08.05


  標高が上がると、 気圧が下がり、 沸点が下がり、 酸素分圧が下がり、 気温が下がり、 ゴルフの飛距離が伸びます。 そのしくみを考えてみましょう。

  標高が上がると気圧が下がるのは、 そこよりも上空に存在する空気の質量が少なくなるためです。

  標高が上がると沸点が下がるのは、 気圧が下がるためです。 気圧が低いと液体の表面を押さえつける力が弱くなりますので、 分子の運動量がやや少なくても液体は気化するのです。

  標高が上がると酸素分圧が低下するのも、 気圧が下がるためです。 空気の中の酸素や窒素の比率が変化して酸素濃度が低下するためではありません。 酸素濃度が一定のとき、酸素分圧は気圧に比例します。なぜなら、次の式が成り立っているからです。
    
     濃度と密度の違い
       濃度とは、 混合物において、 ある成分が全体に占める比率を指す尺度である。
       密度とは、 単位体積あたりの質量である。

  標高が上がると気温が下がるのも、 気圧が下がるためです。 地表で暖められた空気団は熱膨張して軽くなり上昇します。 上昇すると気圧が低い環境に置かれるので、 さらに膨張します。 気体は膨張すると、 外界との熱エネルギーの出入りがなくても温度が下がります。 このことを 「 気体は断熱膨張すると温度が下がる。」 と言います。 そのために、 気圧が低い所の気温は低くなるのです。 標高が上がると気温が下がる理由には、もう一つあります。 それは、 地面や海面近くは、 水や土などのいろんな物質によって太陽光という電磁波エネルギーが熱エネルギーに変換されたり、 人間の仕業によっていろんなエネルギーが熱エネルギーに変換されたりしているためです。

  標高が上がるとゴルフの飛距離が伸びるのは、 空気抵抗が減少するためです。 空気抵抗が減少する理由は、 空気密度が低下するためです。 空気密度が低下するのは、 気圧が下がるためです。


追伸 :
  私たちが肺の中に取り込む吸気の酸素分圧は です。
  鼻カニューラを使って の酸素を 流しながら呼吸をしますと、 吸気の酸素分圧を ( およそ3割増し )まで上げることができます。
  標高 の所へ行きますと、 吸気の酸素分圧は ( およそ2割減 )まで低下します。 前者は、 心臓や肺の疾患で血中酸素分圧が低下している人が利用していますし、 後者は、 持久系スポーツのトップアスリートたちが心肺機能を上げるために利用しています。