ジャズの歴史
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2023.01.11_____
1600年を過ぎると、西アフリカの人たちが奴隷としてアメリカに連れてこられ綿花栽培などの農業労働に携わった。1865年に南北戦争が終結すると、彼らにも僅かな自由が与えられた。特に国際貿易港を持ち政府公認の娼婦たちのいるニューオーリンズの歓楽街での開放的な音楽演奏は人気があった。ジェリー・ロール・モートン( ピアノ )や キング・オリヴァー( コルネット )や バディ・ボールデン( コルネット )らが中心となって作られた音楽、地元の音楽や西アフリカの音楽やヨーロッパの音楽が融合されて出来上がったもの、それがジャズである。一口に西アフリカの音楽やヨーロッパの音楽と言っても、それらの中には、労働歌などの民謡や宗教歌やクラシックなど多くの種類の音楽が含まれている。
ジャズは、演奏者の個性的なサウンドを重視して、聞き手の心の奥に潜む感情を引き出す大衆音楽である。ジャズでは、人が歌うように楽器を奏でたり、楽器を奏でるように人が歌ったりする。ジャスにとって歌うとは、歌わされることであり、演奏者のこの瞬間の言葉にできない心情を表現することである。
ニューオリンズは1917年に始まった第一次世界大戦のために軍港となり、歓楽街は廃れていった。しかし、ルイ・アームストロング( トランペット,ボーカル )や デューク・エリントン( ピアノ )や カウント・べーシー( ピアノ )らの活躍もあって、第1次世界大戦が終了した1919年には、ジャズはニューヨークやシカゴなどアメリカ全土の都市で演奏されるようになっていた。また、ヨーロッパ各地でも演奏されるようになった。米国ではこの年から14年間に渡り禁酒法が施行されたが、その間にアンダーグラウンドでジャスや麻薬が流行した。ジャズの曲にはテーマとそのアドリブがある。ジャズミュージシャンはいろんな人達と共演してはその場その場で音楽を作る。それは、出来上がったものを再生するのとは違う生演奏である。1929年のニューヨークでの株価暴落が引き金となって起こった世界恐慌の下でも、ギャングと結びつきながらジャズは流行した。ここまでのジャズはニューオーリンズジャズと言われる。その後ジャズはラジオに乗ってお茶の間にも届けられるようになり、スウィングジャズの時代を迎える。スウィングジャズの第1人者と言えば ベニー・グッドマン( クラリネット )である。スウィングジャズは、メロディーや大勢のアンサンブルを重視するジャズである。白人主導の踊りを意識したジャズである。スウィングとは自然に体が動くようなリズムという意味だ。
1939年から1945年までの第二次世界大戦の間は、ジャズの変換期であった。スウィングジャズに代わって、たくさんの音程の細かな音で作られたアドリブ合戦を重視するビパップが流行するようになった。その立役者が チャーリー・パーカー( サクソフォーン )と ディジー・ガレスピー( トランペット )である。それに対抗するように作られたのが、メロディー重視の聞きやすい クールジャズ や ウェストコーストジャズ である。その立役者は マイスル・ディヴィス( トランペット )や デイヴ・ブルーベック( ピアノ )や アート・ペッパー( サクソフォーン )である。1950年になると、マイルス・デイヴィス や アート・ブレーキー( ドラム )らによって作られたハード・バッブが流行する。ハード・バッブはビパップの熱狂を引き継ぎつつもゴスペルを取り入れメロディーを分かりやすくしアドリブを交代で行うようにしたジャズと言える。ハード・バッブはファンキージャズとも言われ、ジャズの定番中の定番である。マイルス・デイヴィスはその後も時代に合ったジャズを創造し続けて1970年頃までジャズの第一人者となった。たとえば、コード進行よりも旋法(モード)を用いて演奏されるモードジャズである。コードにない音もアドリブで使えるのでその音階全ての音を使えることになり、完結しないメロディーになる。ジョン・コルトレーン( サクソフォーン )は主にモードジャズの世界で活躍した。また、これまでのジャズ理論や演奏形態の束縛から自由になってアフリカを重視して人間の喜怒哀楽を表現しようとするフリージャズも1950年代末より登場した。その立役者がオーネット・コールマン( サクソフォーン )である。フリーとはコード進行を無視しリズムのみ約束事があるという意味である。1960年代はジャズよりも8ビートのロックや16ビートのファンクが流行した時代である。したがって、ジャズの中にもそれらの要素が取り込まれることになる。たとえば、マイルス・デイヴィスは1968年に電気楽器を導入し、録音の編集による楽曲製作を始めた。この流れに乗って1970年代からは、ジャズはロックやポップスやソウルなどを取り入れたフュージョンの時代へと変化していく。フュージョンは最初のころはクロスオーバーと呼ばれた。
1980年代にスタンダードな4ビートのジャズが再注目されてモダンジャズと言われたのは、1945年頃から1970年頃までのジャズであり、モダンジャズは今でもジャズの定番である。モダンジャズのミュージシャンには、チャーリー・パーカー や ディジー・ガレスピー や マイルス・デイヴィス や デイヴ・ブルーベック や アート・ペッパー や ジョン・コルトレーン や オーネット・コールマン の他に アート・ブレーキー( ドラム )や ソニー・ロリンズ( サクソフォーン )や ビル・エヴァンス( ピアノ )や ウェス・モンゴメリー( ギター )や リー・モーガン( トランペット )などがいる。1950年から1980年までの日本ではジャズ喫茶が多く登場した。
フュージョンの後、ミュージシャンの自己表現を押さえた心地のよい音色重視のスムースジャズが流行し、その後1990年代からはコンテンポラリージャズとなって今日に至っている。コンテンポラリーとは現代的なという意味である。芸術性と大衆性を兼ね備えていろんな音楽を取り込みながら広がってきたのがジャズであり、セッションとライブを中心に提供される演奏を基本にしているのがジャズである。