非局所性 非実在性
物理哲学 へ戻る
大学生のための物理学 へ戻る
2025.08.18


 「量子もつれ」とは1対の量子たちがそれぞれ2方向のスピンを持っており、観察されるまではその方向は決まっておらず、1方の量子のスピンの方向が観察されて明らかになった瞬間に片方のスピンの方向がその反対方向に決まるというものです。これは量子の非局所性を表す現象であるとされます。「局所性」とは、情報は光速より速く伝わらないということです。アインシュタインも真っ青になる現象です。

 「実在性」とは、観察される前から物質の状態が1つに決まっていることです。量子の非実在性を表す実験に「量子1個の2重スリット実験」があります。「量子1個は観察されるまでは波として振舞っており、観察すると1点に収縮する。」とするのがコペンハーゲン解釈です。そう主張するボーアに対してアインシュタインは真っ赤になって論争しました。

集合Aは、a1 と a2 の2つの要素から成り立っています。
集合Bは、b1 と b2 の2つの要素から成り立っています。
コインを投げて表が出れば、a1 に1という属性を与え、a2 に−1 という属性を与え、裏が出れば、a1 に−1 という属性を与え、a2 に1という属性を与えます。
サイコロを振って偶数が出れば、b1 に1という属性を与え、b2 に−1 という属性を与え、奇数が出れば、b1 に−1 という属性を与え、b2 に1という属性を与えます。
たとえば、a1 が持つ属性を (a1) とします。すると、次の不等式が成り立ちます。
    −2 ≦ S ≦ 2
       ただし、 S = (a1) × ( (b1) + (b2) ) + (a2) × ( (b1) − (b2) )
   a1 = 1, a2 = −1, b1 = 1, b2 = −1 のとき、
     S = 1 × ( 1 − 1 ) − 1 × ( 1 − (−1) ) =→ −2
   a1 = 1, a2 = −1, b1 = −1, b2 = 1 のとき、
     S = 1 × ( −1 + 1 ) − 1 × ( (−1) − 1 ) =→ 2
   a1 = −1, a2 = 1, b1 = 1, b2 = −1 のとき、
     S = −1 × ( −1 + 1 ) + 1 × ( 1 − (−1) ) =→ 2
   a1 = −1, a2 = 1, b1 = −1, b2 = 1 のとき、
     S = −1 × ( −1 + 1 ) + 1 × ( (−1) − 1 ) =→ −2

 しかし、上記の規則を破って、しかも、(b2) の値がコロコロ変わってしまう場合に、次のようなことが起こります。  これらはすべて −2 ≦ S ≦ 2 を満たしません。これは、ベルの不等式の破れのモデルです。ベルは観察前から量子状態は1つに決まっていると考え、実験では必ず自分の作った不等式が成立すると考えていましたが、実際は彼の不等式が破綻して、量子の世界では実在性のないことが証明されたのでした。


 はたして「 非局所性 非実在性 」は量子の世界だけなのでしょうか? もしマクロの世界でもそれが言えるのであれば、「多世界解釈」が「コペンハーゲン解釈」よりも優位になってくると思います。