2物質系の重心速度
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2024.10.18


     


 上図の物質Aの質量は m1 kg で、物質Bの質量は m2 kg です。しばらくすると衝突し、その後物質Aは右向きに速さ v'1 m/s で物質Bは右向きに速さ v'2 m/s で等速直線運動しました。2つの物質の反発係数は e です。
 運動量保存の法則より、次の式が成り立ちます。
    m1v1m1v'1m2v'2   ・・・ @
 反発係数の式より、次の式が成り立ちます。
    
    
@ と A の連立方程式を解くと、次のようになって、衝突後の物質Aと物質Bの速度が分かります。
    

 さて、衝突後の物質Aと物質Bの速度をもっと簡単に知ることができます。それは、2物質系の重心速度を用いる方法です。

 2物質系の重心は次の式で表されます。( 物質Aの位置ベクトルを 物質Bの位置ベクトルを  とします。)
    
        ※ 参照: 大学生のための物理学 > 剛体力学 > 物質系の重心ベクトル
 これを t で微分すれば次の重心速度 になります。
    

 保存力以外の外力が加わらない限り運動量の総和は一定であるという「運動量保存の法則」がありますが、例えば等速直線運動をしている2つの物質の衝突のように、運動量保存の法則が成り立っているとき、重心速度は一定です。ですから、重心と並走している観察者の系で衝突の前後の2つの物質の運動状態を比較することができます。ちなみに、物質Aや物質Bと常に並走している観察者の系で衝突の前後の2つの物質の運動状態を比較することはできません。なぜなら、衝突によって瞬間的に観察者の速度が変わるので、慣性系を乗り換えることになるからです。

 重心と並走している観察者の座標系では、衝突前の物質Aの速度は次のようになります。
    
 重心と並走している観察者の座標系では、衝突前の物質Bの速度は次のようになります。
    
 重心と並走している観察者の座標系では、衝突後の物質Aの速度は次のようになります。
    
 重心と並走している観察者の座標系では、衝突後の物質Bの速度は次のようになります。
    
 これらから、次の2つの式が成り立っていることが分かります。
    
    
 というわけで、重心と並走している観察者の座標系では、衝突前の物質の速度に−e をかけさえしてやれば、衝突後の物質の速度が簡単に分かるということが解りました。