(1) 原子核融合
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陽子の質量 :

中性子の質量 :

ですから、 原子質量単位の定義より、 炭素
の質量は、 その12倍で
になります。
さて、 炭素は、 陽子 と 中性子 と 電子 が6個ずつです。 電子の質量は陽子や中性子に比べるとはるかに小さいので無視することができます。 そこで、 炭素の質量は、 次のようになるはずです。

しかし、 実際の炭素の質量は、 この理論値よりも
少なくなっています。 これは 「 質量欠損 」 といわれます。 原子核の結合による位置エネルギーは電子の原子核に対する位置エネルギーのように負の値になっており、 陽子や中性子が核結合するときには、 エネルギー保存法則により、 質量欠損に光の速さの2乗をかけた値のエネルギーを持つ電磁波が発生し放散されるのです。たとえば、 陽子だけからなる水素
の原子核 と 陽子1個と中性子1個とからなる重水素
の原子核 とが衝突しますと、 核融合が起こり、 ヘリウム3の原子核
と
線粒子 ( 光子 ) 1個 ができます。陽子の質量 :

重水素原子核の質量 :

ヘリウム3原子核の質量 :

この時に、 エネルギー保存の法則が成り立ちますので、 光子の振動数を
をすると、 次の式が成り立ちます。
太陽が放出する電磁波のエネルギーは、 原子核融合によるものです。 太陽では、 絶えまなく、 4個の水素
の原子核 と 2個の電子 とが結合して 1個のヘリウム
の原子核になっています。水素の原子核の質量 :

中性子の質量 :

ヘリウムの原子核の質量 :

この反応で放出されるエネルギー (
) は、 次のようになります。
太陽は1秒間に
の水素を原子核融合させているとのことですので、 太陽が1秒間に放出しているエネルギーは次のようになります。
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「 核融合によって質量欠損が生じていることがわかりましたが、 核分裂でも質量欠損が生じています。」 言うと、「 そんなバカな。 反対だろう。」と思う人が多いと思います。 核分裂する原子は、 陽子の斥力 が 核力( 核融合させている引力 )に抗していて、 結合は弱くなっています。 つまり、 核結合の位置エネルギーはゼロに近い負の値になっています。 核分裂が起こって2つの原子になったときには、 それぞれの原子核において、 陽子の斥力は弱いために核結合の位置エネルギーは随分と低くなっていますので、 その2つの和をとっても元の原子の核結合の位置エネルギーの値よりも低くなっています。 そういう理由で、 原子核分裂でも質量欠損が起こり、 その分のエネルギーが放出されるのです。
たとえば、
崩壊によって、
は
になります。
の原子核の質量 : 
の原子核の質量 : 
ヘリウムの原子核の質量 :

この崩壊で放出されるエネルギー(
)とすると、 次のようになります。

崩壊によって、 中性子は陽子と電子に分かれて反ニュートリノを放出します。 このとき反ニュートリノの持っているエネルギー (
) は、 次のようになります。陽子の質量 :

中性子の質量 :


実は、 反ニュートリノが先にあったわけではなく、
崩壊における質量欠損を補うために反ニュートリノが理論的に考え出されて、 あとからその実在が確認されたのです。
崩壊による質量損失のしくみ、 簡単に言えば、 陽子と中性子の質量の違いの理由は、 従来の原子崩壊による質量損失の理論、 つまり、「 原子核崩壊とは、 核結合の弱い原子が、 より核結合の強い原子たちに変化して安定することです。」では説明できません。 電気的に結合している陽子と電子を切り離すのにはエネルギーが必要のようですが、 実際はエネルギーが放出されるのです。 このしくみを説明するには、 量子力学的に深い考察が必要のようですが、 今の私には解りません。これらの原子核崩壊は、 独立の原子が自発的に起こす現象です。 これに対して、 群れをなして原子核が崩壊していくのが、 核分裂です。 中性子をウラン235 の原子核に衝突させると原子核が分裂します。 この時に中性子と電磁波が放出されます。 放出された中性子は別のウラン235 の原子核に衝突し、
。 このような核分裂の雪崩的連鎖反応によって、 瞬間的に莫大なエネルギーの電磁波が放出されることになります。 これが原子爆弾の原理です。 ちなみに、 広島に投下されたウラン原子爆弾のエネルギーは、 質量で表すと
くらいだそうですので、 原爆のエネルギーはおよそ次のようになります。
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