空底生活
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2011.06.26
東京から東北へ約半時間、 新幹線は大平原の中を駆け抜ける。 大平原とはいっても、 それは小さな林と家と田畑より構成される。 地平線の彼方へと連なる送電線と、 空の底にくまなく張り巡らされた電線網が、 パノラマのように浮かび上がってくる。 私達は電気の中で生きてるんだなあと改めて感じる。
東日本大震災による福島の原発事故のため、 関東地方は今、 電力不足になっている。 そのため中部電力から電力の一部を供給してもらっているのだが、 関西はアメリカ型の周波数 60Hz の交流で、 関東はドイツ型の周波数 50Hz の交流なので、 途中で周波数変換所を介さなければならない。 周波数の変換は、 いったん直流に変換してから再び交流に戻す方法をとっているそうだ。 そんな面倒なことをしなくとも、 交流のまま、 60Hz を 300Hz に変換した後に 50Hz に変換してやればいいのではと思うのだが、 それは難しいらしい。
人類が初めて電池を手にしたのが1800年。 その後、 磁石を動かして電気を起こすことを覚え、 日本が明治維新を迎える頃には、 欧米の各地で発電所が建設されるようになった。 電気が産業を発達させ、 産業がまた電気を発達させ、 第一次大戦後はエレクトロニクス時代と呼ばれるようになった。
家の中を見回してみても、 照明、 暖房、 掃除、 洗濯、 料理、 娯楽、 情報 など、ありとあらゆる分野で電気が活躍している。 電気は家事を楽にして、 女性に社会参加への道を開き、 地球上の出来事を瞬時に茶の間に届けて、 私達の視野を広げてくれた。 しかしその反面、 睡眠不足の低年齢化が進んだり、 夜空の星を見て自然や人を思う心が姿を消すなど、 新たな問題も生じている。
電気はエネルギーの一種である。 エネルギーは自然の恵みであり、 人間が作り出しているものではない。 人間はただ自然のエネルギーを自由自在にいろんな形に換えているだけである。 電気の中で生きている人間は、 空の底で自然によって生かされていることを忘れてはならないと思う。