鏡像異性体
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2012.07.04
コーヒーカップを手の平に乗せて鏡の前に立ってください。 取っ手が右側になるようにしてください。 すると、 鏡に映っているコーヒーカップ と 実物のコーヒーカップ は全く同じ形になっています。 カップの取っ手の位置も同じです。 では、 コーヒーカップに取っ手から反時計回りに90度の側面にガムをくっつけてから、 もう一度同じことをしてください。 今度は、 鏡に映っているコーヒーカップ&ガム と 実物のコーヒーカップ&ガム は同じ形ではありません。 では、 鏡に映っているコーヒーカップ&ガムの姿を記憶して、 それと実物が同じ形になるようにコーヒーカップを手の平の上で回転させてみてください。 しかしどうしても同じ形になりませんね。 ガムのことを考えたら取っ手が逆の位置になり、 取っ手のことを考えたら、 ガムが見える見えないの違いが生じます。 異なる形の実物と鏡に映った姿との関係を 鏡像異性体 といいます。特に、 鏡像異性体というときは、 物質の化学構造を意識しています。
普通に合成した サリドマイド や メントール は、 鏡像異性体が 50 % ずつになっており、 一方が作用を起こし、 他方が副作用を起こします。 そこで、 作用を起こす方だけを合成させようという試みが行われ、 1980年代に名古屋大学の野依先生らが BINAP という鏡像異性体の触媒の片方のみを使用することによって、 その思いを達成しました。 その結果、 メントールの大量生産が可能になりました。