マニファクチャー( 工業製手工業 )の時代に、 イギリスの羊が農民を喰ったというのは、 もちろん本当のお話ではなく、 トマス・モアが著書「 ユートピア 」の中で「 囲い込み 」を批判したものです。「 囲い込み 」は一方的な権利の行使であり、 彼の言うとおりだと思いますが、「 囲い合い 」は対等な権利の争いであり、 非暴力的に行われるのであれば、 それは悪いことではないと思います。
囲碁のテレビ番組で一番面白いのが、 プロと高段者アマとの対局の解説番組です。 囲碁というゲームの進め方のコツを上手に教えてくれます。 その典型は、「 囲い合い 」を局所的に完成させる「 ヨセ 」に入るタイミングです。 ヨセは、「 囲える所を囲ってしまう 」や「 囲われそうな所を囲わなくさせる 」よりも「 囲い合いになっている局面を自分が囲ってしまって相手に囲わなくさせる 」ことのほうがずっと効果が大きいのです。 したがって、 ヨセは碁盤の真ん中あたりよりも、 角に近い端から2番目の碁線上あたりに石が向かいます。
A :「 一郎が道に落ちている
を拾って、 自分のものにした。」B :「 花子が道に落ちている
を拾って、自分のものにした。」C :「 一郎が花子が道に落とした
を拾って、 自分のものにした。」D :「 花子が一郎が道に落とした
を拾って、 自分のものにした。」A が起こったときの、 一郎と花子の経済較差の変動は、 花子にとって
です。C が起こったときの、 一郎と花子の経済較差の変動は、 花子にとって
です。C と D が同時に残ったときには、 一郎と花子の経済較差の変動はありません。
本当ならばD が起こるべきところを、 C が起こってしまったならば、 一郎と花子の経済較差の変動は花子にとって
ですが、 ダメージ的には
です。ヨセでは、 特に「 先手先手 」が大切になります。 また、 ヨセは「 ダメージ的数値 」でその価値が評価されます。
「 囲える所を囲ってしまう 」は比較的後手に回ることが多いので、 たとえば、 A のようなことを起こしたら、 いくら欲の少ない相手でも、 その直後にB のようなことを起こしますので、 結局、 2人の経済較差の変動はほとんど起こりません。
「 囲われそうな所を囲わなくさせる 」は「 先手先手 」でいけそうなのですが、「 先手先手 」でいける「 囲い合いになっている局面を自分が囲ってしまって相手に囲わなくさせる 」があれば、 そちらの方が多くの成果を得られますので、 相手に先にそちらに回られたあとで、 先手が戻ってきます。
C のようなことが起こった後も後手に回るようなことがなければ、 もう一度C のようなことを起すチャンス や A のようなことを起すチャンス があるわけで、 2人の経済較差の変動は益々大きくなります。
このように、「 囲える所を囲ってしまう 」と「 囲い合いになっている局面を自分が囲ってしまって相手に囲わなくさせる 」との効果の程度は「 月とすっぽん 」の違いなのです。 これは、 ゴルフにおける「 ドライバーのうまさ( 1ゲームでせいぜい14回 )」と「 パットのうまさ( 1ゲームで36回以上は優にあり )」との価値の差ほどあります。
『 あなた見て見て、 この服3000円。 本当なら1万円のところよ。』
「 どうせ、 最初から3000円の品なんだろう。 それとも訳あり商品?」
『 そんなことないわ。 私7000円も得しちゃった。』
「 損か得か、 それは心が決める。」
『 囲い合い 』 に対しても、 お釈迦様はきっとこう言うでしょう。
「 奪い合えば足りぬ。 分け合えば余る。」
( クイズ )
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200g以上の砂糖 と 40gの重り1個 と 8gの重り7個 があります。
天秤を用いて100gの砂糖を計り出してください。
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まず、 すべての重りを用いて、 96gの砂糖と吊り合わせます。 次に、 重りの方の皿を空にして、 砂糖の方に8gの重りを1個乗せます。 その次に、 重りがあった方の皿に新たな砂糖を乗せ、 104gずつを吊り合わせます。 その次に、 重りだけを取り除きます。 最後に、 重い方の砂糖の塊の一部を軽い方の砂糖の塊に移して吊り合わせます。 すると、 100gの砂糖の塊2つを計り出すことができます。
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