聞き耳の臨場感
音楽と物理学 へ戻る
ばいおりんの日常的物理学文集 へ戻る
2011.12.15


  映画を観賞するときに、 お椀を半分に割ったものをヘッドホーンのようにして両耳に装着し、 人工的な巨大耳介( 巨大耳殻 )を作ってやると、 音の臨場感が増して映画が益々ワクワクしてきます。 商品名は「 聞き耳 」。 このグッズは特許を得るかもしれませんし、 また、 映画館の前で販売すると儲かるかもしれません。

  ステレオとは、 音響工学用語であり、 録音した音声の再生時に臨場感を出すために、 複数の録音機を用いて同時に録音し、 それらを複数の音声発生器を用いて同時に再生する方式のことです。 元々は、 ステレオはステレオフォニックの略語であり、 開発された当初は、 ステレオは2チャンネンルでした。 ステレオの原型には、 2タイプあります。 それは「 2チャンネンルステレオフォニック 」と「 バイノーラル 」です。

  多数の音源が線分AB上に等間隔で並んでいます。 このとき音響工学的に理想的な聴取者の位置は、 線分ABの垂直二等分線( 中点を通る垂線 )上で点Aと点Bと30度の角度をなす位置です。 もちろん音源の音声が十分に聴取される音量であることが前提です。 バイノーラルは、 これを忠実に再現したものです。 バイノーラルとは、 理想的な聴取者の位置で、 左右2個のマイクロフォンを持つダミーヘッドを用いて録音し、 それぞれを左右2個のイヤフォンで再生する方式です。 動物が音源の位置を認識するしくみは、 左右の耳に入る音の音量差と時間差を利用しています。 動物の右側に位置する音源から伝わってくる音波は、 動物の右耳の鼓膜を左側の鼓膜よりも、 より早くより大きく振動させます。 この左右2つの聴神経から脳に入ってくる情報の差から、 大脳は音源の位置を認識しているのです。 サバンナで暮らす動物たちや、 車道を利用して暮らしている人間にとっては、 音源の位置の認識は生死に直結します。

  2チャンネンルステレオフォニックは、「 点Aを通り線分ABに垂直な直線上で点Aと点Bと30度の角をなす位置 」と「 点Bを通り線分ABに垂直な直線上で点Aと点Bと30度の角をなす位置 」の2カ所で録音した2チャンネル音声を、 聴取者に対して前側左右30度の位置に置かれた一対のスピーカーを用いて、 向かって右側で録音された音声は右側のスピーカーから、 左側で録音された音声は左側のスピーカーから再生する方式です。 録音の時点で音源の位置は一般的な聴取よりもデフォルメされ、 それが再生時に少しアンデフォルメされ、 現実的な聴取に近いものになります。