メロディーライン
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2012.02.29


  長さ約50kmの日本一細長い半島である佐田岬半島は、 かつて「 岬十三里 」と呼ばれる交通の難所でした。 海岸線に沿って道幅が狭くてカーブが多く、 大雨の時にはたびたび地滑りで通行止めになっていました。 国道197号線ですので、「 あの路イクナ 」と言われていました。 それが、 昭和62年に開通したメロディーラインにより快適なドライブが楽しめるようになりました。 高い所を走っていますので、 天気のいい日には紺碧の青い海と澄み切った空が見渡せます。 九州に渡るには、 メロディーラインの終点の三崎港 から 関サバで有名な佐賀関 までフェリーで約1時間です。 お盆を過ぎると、 三崎の旅館ではムラサキウニをいただくことができます。 初めて食べた時は、マツタケのすき焼き以来のカルチャーショックでした。


  佐田岬の漁師さんの1年は大変忙しいです。 春は、 サザエやアワビの素潜漁から始まります。 三崎には、 海女の男版の海士(あまし)がいるのです。 また、 小舟に乗って沖にでて、 桜鯛( 春が旬のマダイはこう呼ばれます。)の一本釣りをします。 初夏は、 潜って寒天の材料になる天草(てんぐさ)を取ります。 夏は、 岬アジ(ハナアジ)の一本釣りです。 網を使うと魚が傷んで味が落ちるからです。 潮の流れの速いところの魚は味が違います。 漁港には大きな生け簀があり、 釣れた魚はここで最低1日は休ませて、 釣られたストレスから解消してやるそうです。 そうして海にいたときと同じように活きを取り戻してから、 活けしめ・血抜きを経て、 氷水で身を引き締めて出荷されます。 この一連の作業が、 魚の旨さのもうひとつの秘訣です。 早朝からの漁が終わって陸(おか)に上がると、 ルワー(疑似餌)をこしらえます。 晩夏からは潜ってウニを取ります。 秋は伊勢海老漁です。 伊勢海老は夜行性ですから、 夕方に刺し網をして、朝方に引き上げます。 伊勢海老は海が荒れると活発に動き始めることから、 伊勢エビ漁は時化た闇夜が好漁のときとなり、 危険な漁になります。 エビ網からエビを外すのが一苦労です。 傷んだ網の手入れも大切です。 秋の一本釣りは、 太刀魚、 ハマチです。 冬はフグの延縄(はえなわ)漁です。 延縄とは、 1本の長い幹縄に多数の枝縄をつけ、 枝縄の先端に釣り針を付けたものです。 冬の海は荒れています。 フグは上げるとすぐに鋭い歯を切り取り空気をぬいてから、 生簀に入れられます。 仲間同士で傷つけ合わないようにするためです。 餌はイワシのぶつ切りで、 何千個もある針に一個ずつ餌をつけていくのもひと仕事で、 また、 フグの硬い皮に負けぬよう針のやすりがけもたいへんです。 冬はまた、 岬サバの旬であり、 岬アジも第2の旬を迎えます。


  密かに期待していたのですが、 ついにメロディーラインにもできました。 篠田工業が特許を持っているメロディーロードです。 舗装路面に溝を作ることにより「 舗装と回転するタイヤとの接触音 」が曲を奏でます。 メロディーラインの帰り道で「 みかんの花咲く丘 」が流れるようになりました。 佐田岬半島の付け根には、 耕して天に至るミカンの段々畑があるからです。 車を止めてメロディーロードの歩道から観察してみると、 4分音符はおよそ8mの長さに渡り約10cm の等間隔に溝が切られていました。 最初の30本くらいの溝は幅が比較的広く作られています。 後で調べて解ったのですが、 溝と溝の間隔が狭いと高音、 広いと低音になるそうです。 また、 音と音との境には1mほどの溝のない部分がありました。 速い車ほど高いキーで曲を奏でて去っていきます。 また、 ドップラー効果も認められました。 それは、 道路ではなくタイヤまたはタイヤが連れ去る空気が振動することによって生じる音だという証拠です。