国債発行残高
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2025.06.08


 国債発行残高とは、償還されずに残っている国債の総額のことです。もし日本銀行が国債の 40 % を保有していれば、実質的に政府が抱える負債は国債発行残高の 60 % になります。
 統合政府( 政府と日本銀行を一体とみなしたもの )は、国債を発行して民間銀行に販売し、その一部を買い戻すことによって通貨を生み出しています。日銀が民間銀行から国債を購入した時、民間銀行の日銀当座預金の総計は増加します。民間銀行の日銀当座預金は、いずれ民間銀行の引き出しによって現金通貨に変身し、さらに民間銀行の企業や個人の預金からの引き出しによって、企業や個人の手元に移っていきます。また、政府が国債発行によって手に入れた通貨は、政府が公共事業を発注した企業が有する銀行の日銀当座預金に移動します。
 考えやすくするために中央銀行と民間銀行が1個ずつ存在する社会で、国債の利子は常に0円とします。政府が額面1万円の5年物国債を毎年1月10日だけ100枚発行し続けた場合、マネタリーベース( 中央銀行から民間銀行へ供給されている通貨の総量 )の累積増加額はどうなっていくでしょうか? ただし、政府は毎年1月20日だけ公共事業を発注し、政府の国債発行によって増えた政府預金を民間銀行の中央銀行当座預金へ送金するものとします。また、中央銀行は毎年7月10日だけ民間銀行からその年に発行された国債を40枚購入します。また、中央銀行が保有する国債が満期を迎えた場合は、政府は国債の借り換えを行うものとします。その上、民間銀行は毎年7月10日だけ中央銀行当座預金から60万円引き出すものとします。また、預金通貨から現金通貨への変身量と現金通貨から預金通貨への変身量とはずっと等しいものとし、現金通貨は最初の5年間は一定であり、6年目からは、政府が毎年1月に60万円の税金を徴収するようになるため、毎年1月に60万円ずつ減っていくものとします。


      マネタリーベースの累積増加額
 360万円 = 40万円×9 であり、毎年、中央銀行が民間銀行から購入する国債の分だけマネタリーベースが増加していってます。5年目の8月の時点で国債発行残高は 100万円×5 =→ 500万円 であり、政府の実質の負債は 500万円×0.6 =→ 300万円 です。それらはその後はずっとそのままになります。政府の国債における負債は税金で集めた貨幣を用いて負債無しにしなければならないかというと、そうではありません。なぜなら、政府の負債は国民の負債ではなく民間の資産であり、民間は政府に対してその資産を大量に売り払うことはないからです。もしそうなったとしても、政府は貨幣創造をすることによって対応することができます。