ずり応力
医療と物理学 へ戻る
ばいおりんの日常的物理学文集 へ戻る
2012.01.19


  ずり応力とは、 剪断応力とも言われ、 物体内部のある面に平行に、 すべらせるように作用する応力のことです。 これにより物体は力の方向に平行な層と層との境界面が引き剥がされるような弾性変形( 歪 )を受けます。 応力とは、 弾性体内部や連続体内部に生じる力のことで、 テンソルの仲間です。 応力は、 連続体内部に定義した微小面積に作用する単位面積あたりの力として定義されます。

  褥瘡( 床づれ )の原因の1つに、 ずり応力があります。 特に深いところで起きる皮下組織と筋肉との境界でのずり応力は、 血行障害を併発し、 深い難治性の皮膚潰瘍を形成します。 褥瘡とは、 虚血 による 皮膚・皮下組織・筋肉 の 変性・壊死 のことです。

  血管内皮細胞にも、 ずり応力が働いています。 適度なずり応力は、 内皮細胞に一酸化窒素のような血管拡張・抗硬化若返り物質を産生させます。 血管内皮細胞に働くずり応力は、 血液粘度 と ベクトル空間的血流速度勾配 に比例すると言われています。 血流速度ではなくて血流速度勾配に比例するのは、 血管内皮細胞の層が血流に垂直でなく平行であるためと、 血管内皮細胞がその付近の血流速度を低下させている分だけ血液の運動エネルギーを吸収しているからです。