パラレルワールドも期待するという落とし穴
哲学と物理学 へ戻る
ばいおりんの日常的物理学文集 へ戻る
2025.11.12
パーティーの主催者がこう言います。
「 ここに封筒が6枚あります。中にはそれぞれ 1000円、2000円、4000円、8000円、16000円、32000円 入っています。太郎君にはこの封筒をさしあげます。花子さんにはこの封筒をさしあげます。ではこっそりと自分の封筒の中の金額を確認してください。なお、あなた方が手にしている封筒の中の金額は 1:2 の比になっています。今から3分間以内ならお互いに封筒を交換してもいいですよ。」
主催者が太郎君に渡したのは 4000円入った封筒で、花子さんに渡したのは 8000円入った封筒でした。
太郎君はこう考えました。
「 交換した場合、もらえる金額の期待値は、 2000円 × 0.5 + 8000円 × 0.5 =→ 5000円 で 4000円 よりも大きい。よって交換した方がより多くのお金をもらえる可能性があるということだ。」
花子さんはこう考えました。
「 交換すれば、今より減る可能性も増える可能性も半々だ。でも増えたときの金額は、減ったときの金額よりも大きい。ということは、交換した方がより多くのお金をもらえる可能性があるということだ。」
こうして2人は、封筒を交換したのですが、30秒もたたないうちに2度目の交換をして、その後も交換を繰り返しました。
なんか変ですね。どこが間違っているのでしょうか? それは、2人に封筒が渡された瞬間、次の2つの世界に分岐して、現実の2人はAかBかどちらの世界にしか存在しないにもかかわらず、パラレルワールドのことも可能性があると考えて期待値に持ち込んでしまったところが問題だったのです。
Aの世界: 2人が持っている封筒の中の金額の合計が 6000円
Bの世界: 2人が持っている封筒の中の金額の合計が 12000円
正解は「 交換してもしなくても、得られる金額の期待値は2人が手にしている金額の合計の半分で、変わらない。」です。
とは言っても、太郎君はこう考えるかもしれません。
「 2人がAの世界にいて花子さんが 2000円 持っているという状況の可能性は 0.5 で、2人がBの世界にいて花子さんが 8000円 持っているという状況の可能性は 0.5 である。したがって、交換した方がより多くのお金をもらえる可能性があるということだ。」
そんな太郎君には、次のように説得します。
「 未来にあなたが行ける世界がAまたはBで、行ける確率が半々ならば、太郎君の考え方は正しいのですが、もう今現在、あなたはAまたはBの世界に住んでいて、今後、世界を変更することができないのです。期待値とは今も含めて未来に起こりうる確率で考えなければならないのですよ。」
※ 参照:
大学生のための数学 > 確率 > 選択後の3つの封筒の期待値
大学生のための数学 > 確率 > 2つの封筒のパラドックス