ブランコの上手な立ち漕ぎの秘訣は、 振られる時に立ち上がり、 最上点( 折り返し点 )で瞬時にしゃがみ込むことだと言われます。 そしてその理由は、 ブランコとブランコに乗っている人を1つの軟体として見た時に、 重心が支点に近づくために慣性モーメントが減少したぶん角速度が増加するからだとされています。 しかし、 ブランコを漕ぐしくみは、 ブランコの板を軌道の接線方向に近くなるように蹴って力を加えることであると私は考えています。 もし、 ブランコの板を吊るものが鎖や紐ではなくて簡単に曲がらないもので出来ており、 ブランコの板も回転しない構造になっているのであれば、 ブランコは自分では漕げないと思います。 円運動の速さを大きくするものは、 接線方向の力なのですから。 このことは、 YouTube などで人やロボットがブランコを漕いでいる映像をご覧になれば解ると思います。
ブランコの座り漕ぎでは、 前に行く時には、 最上点から、 両肘関節を屈曲させ両膝関節を伸展させ頭部を後方に移動させます。 戻る時には、 最上点から、 両肘関節を伸展させ両膝関節を屈曲させ頭部を前方に移動させます。 この動作は何をしているのかと言いますと、 前に行くときは、 ブランコの吊り紐を前に折りながら体を後転させ、 戻るときには、 ブランコの吊り紐を後ろに折りながら体を前転させているということです。 そしてこの動作の本質は、 ブランコの板に対して、 板の進行方向に近い方向にお尻を使って力を加えているということです。 等速円運動をしている物質や単振り子運動をしている物質に周期的に短時間でも運動方向に力を加えますと、 物質の速度は次第に増大していきます。 ブランコの立ち漕ぎもこの原理で説明できます。 ちなみに、 体操の選手が鉄棒にぶら下がってから大車輪の技に持ち込むまでは、 これとは異なる原理を利用しているようです。
これらをエネルギー的に考察しますと、 ヒトが持っている化学エネルギーの一部が仕事をして、 ブランコの力学的エネルギー( 運動エネルギー と 位置エネルギー )に添加されていくということになります。
追伸 :
お寺の鐘をつく撞木の運動の原理は、 ブランコを普通の振動方向に対して上下ではない垂直方向に振動させることです。 撞木の鐘側の吊り綱が結んである所から紐がぶら下がっており、 それを使って撞木を振動させ始め、 振動方向に力を加えることで振幅を大きくしていって、 最後に鐘にぶつけます。「 抜苦与楽 」の中尊寺の鐘の音は世界遺産に登録されているそうです。
日が暮れて誰もいなくなった公園に一人、「ゴンドラの唄」( 3拍子 ) を 8分の6拍子( 2拍子系 )にして、 歌いながら座ってブランコを漕ぎます。
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いのち短し 恋せよ乙女
あかき唇 あせぬ間に
次第にブランコの振幅は大きくなっていきます。
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