古代人の世界地図
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2012.02.25


  古事記によりますと、 世界が誕生したのは、 カオスが天と地に分かれた瞬間です。 ビックバンは137億年前ということですが、 古事記には世界がいつ誕生したのかの記載はありません。 その後、 天ではたくさんの神々が生まれました。 一方、 地は地とは言っても泥沼のようなものでした。 そこで、 イザナギの命(みこと)とその妹であるイザナミの命とが、 陸地を作る役割を命ぜられます。
  二人は、「 天の浮橋 」( 虹 ) に降り立つと、 矛で泥沼をかき混ぜ、 引き上げた矛の先からポタポタと落ちた滴( ペニスの先から出てくる精液の象徴だと思います。 )は、 積り固まって、 オノコロ島になりました。 イザナミの命の妊娠と出産の場所が確保されたわけです。 この島に降り立った2人は、 天まで届く柱を立て、 反対方向から柱を回り、 出会ったときに言葉をかわしてから性交をするという「 みとのまぐわい 」の儀式を行います。 2人が出会ったとき、「 あなにやし えをとこを 」と妹が先に口を開きます。「 まあなんとすばらしい男なのでしょう。」という意味です。 先に女から口を開いたことが悪かったようで、 陸地らしいものを出産したものの、 ふにゃふにゃの不完全なものでした。 そこで男から先に口を開くようにしたところ、 淡路島が誕生し、 それから、 次々と日本列島の島々が生まれてきました。


  今、 古代人のロマンに夢を馳せています。 空の向こうに何があり海の向こうに何があるのかを知らない古代人が考えたのは、 次のような世界地図だったと思います。 自分たちが住んでいるこの地上は、 口に出すことや夢に見ることが一大事となる言霊のにぎわう「 葦原の中つ国 」です。 空の上のずっと先には神々が住む「 高天原 」があり、 自然を支配する神からのメッセージは、 2つの世界を行きかうことのできる大きな鳥が運ぶものと考えたことでしょう。 そしてそのメッセージを受け取るものは、 背の高い巨木であったはずです。 日が沈む西方の海の向こうには地底があって死者の世界である「 黄泉の国 」があり、 一方通行の船が、 死者の体から抜け出した魂を運んでいきます。 また、 日の登る東方の海の向こうには、 不老不死の理想郷である「 常世の国 」がありました。


  このような古代人の世界観は日本だけではなかったと思います。 その証拠に、 古代人のロマンや国づくりの神話を題材にして、 全世界を自分の支配下に置こうという野望を持つサタン( 悪魔 )を登場させ、 人間のエゴイズムに焦点をあてた冒険長編小説が、 1954年に英国で書き下ろされます。 J・R・R・トールキン の「 指輪物語 」です。 この物語は、 2001年に「 ロード・オブ・ザ・リング 」という題名で映画化されます。 題材といい、 ロケが行われたニュージーランドの自然といい、 コンピューター映像技術といい、 どれも超一級のスケールの大きさです。 この映画の中で登場するキャラクターの中で私が好きなのは、 モーションキャプチャー技術の草分けとなった「 ゴラム 」です。 彼は2重人格のエゴイストであり、 人間らしい親近感を覚えます。