物理学における量とは
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2020.03.08____
「個数とは、空間のある点が、元来は存在が認知できない状態になっているものが、ある特殊な1つの情報によって存在が認知できるような状態に変化しているときに、全部でそういった点がいくつあるのかを示すものである。」と考えると、個数の本質が見えてくるように思います。
「A君はB君にあめ玉を−2.5 個与えた。」ということは、「A君はB君からあめ玉を2.5 個もらった。」ということです。ですから、「個数からなる集合は実数の集合である。」と思われるかもしれませんが、マイナスは個数にかかっているのではなくて「与えた」にかかっていますし、0.5 個というのは、「個数」を「質量」のように見ていますので、最初に申しました個数の本質からして、「個数からなる集合は0を含む自然数の集合である。」が正解だと思います。
「量」は、ある「質」ごとに決められるものです。「質」の種類によって「単位」が決まります。例えば、「質量」という質の単位は グラム であり、「距離」という質の単位は メートル であり、「時間」という質の単位は 秒 です。質の違う「量」どうしは、かけたり割ったりすることはできますが、足したり引いたりすることはできません。
「A君はB君にジュースを−199.5 ml 与えた。」ということは、「A君はB君からジュースを199.5 ml もらった。」ということです。ですから、「量からなる集合は実数の集合である。」と思われるかもしれませんが、マイナスは量にかかっているのではなくて「与えた」にかかっていますので、「量からなる集合は0と正の実数からなる集合である。」が正解だと思います。
「方向」と「量」を持つ「質」があります。例えば、「力」という質です。水平方向の力は方向が一次元の+または−だけです。したがって、水平方向の力は「方向」を一定にして、「量」を負の実数に拡張することによって、その方向を示していますが、実際はマイナスは量にかかっているのではなく方向にかかっているわけで、やはり、「量からなる集合は0と正の実数からなる集合である。」が正解だと思います。
「方向」と「量」とはきちんと区別しなければならないと思います。「量」は「方向」の情報を持ちません。「方向」の変化には必ず自転が伴います。「階段を3段昇った直後に−2段昇る。」というのは、途中で180度の自転があります。「後ろ向きに降りれば自転しなくてもいいじゃないか。」という意見もあろうかと思いますが、ここで問題にしているのは「進む向き」であります。
「個数」や「量」を負の数にまで拡張するのは、数学的な発想で、それは思考を簡略化するための手段です。波動関数で登場する複素数なんかもその部類に入ると思います。物理学に数学的手法を取り入れることは大変いいことだと思いますが、そのときに本質を見失わないように充分注意する必要があると思います。