国債の話し
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2025.05.20
5年前に 額面100円 利率1% で売り出された10年物国債を売却することを考えます。今年になって売り出された10年物国債は 額面100円 利率2% です。5年前に比べて、民間銀行の金利や債券の利回りが平均で2倍近くになったため、新規国債の利率も2倍になったのです。5年前の国債の価格は、100円 から 95.45円 に下がります。なぜなら、最終利回りが今年発売された国債に等しくなるようにして国債価格は変動するからです。このように、金利が上昇すると国債価格は低下します。
※ 参照: 経済学と物理学 > 株券や債券の販売価格
では、この逆は真でしょうか? 「 国債価格が低下すると金利が上昇する。」も正しいのです。国債の売り手供給が買い手需要を上回ると、国債価格は低下します。すると、国債の利回りは上昇します。長期金利の指標となっているのは「10年物国債の利回り」ですので、長期金利が上昇したものと見なされ、住宅ローンや自動車ローンの金利も高くなり、社会平均の金利上昇が起こります。金利上昇は不況時には最初から好況抑止力して働きますので、不況時に国債転売供給が過剰に増大すると困ったことになります。そこで日銀が国債の需要供給バランスをコントロールしています。
さて、現在は国債のおよそ半分を日銀が持っています。そして、国債の25%は民間銀行が持っており、15%は海外投資家が持っています。日銀は政府から国債の利子をもらい、満期になったら元本を政府から受け取っています( 償還 )。日銀は、政府から受け取った国債の利子については、経費を除いて国庫納付金という形で返納しています。政府は日銀が保有している国債が満期になると償還するために新たに国債を発行してお金を工面し、また、日銀は償還された分はすぐに国債を買っています。これを政府による国債の借り換えと言います。近年は、日銀の保有している国債は年間約70兆円償還されていいます。日本の国債は半永久的に信用が続くと予想されますので、政府は、国債の借り換えを半永久的に行っていけば、実質的には日銀が購入して満期になった国債については返済しないですむということになります。というと、統合政府( 日銀を含む政府 )は得をしているようで不思議ですが、ちっとも不思議ではありません。統合政府は紙幣を印刷して使用することができるからです。信用創造できるからです。
日銀は政府から発行された国債を直接買うことはできません。日銀は民間銀行らが転売する国債を買っています。その購入額は、日銀に転売した民間銀行の日銀当座預金へ振り込まれます。( 実際は日銀当座預金管理電子システムに数字を入力するだけなのですが )この時に新たな通貨が誕生します。この預金通貨の一部はいずれ、民間銀行の日銀当座預金の引き出しによって現金通貨に変身することになります。日銀は国債を買うたびに紙幣を印刷しているわけではありません。便宜上は、民間銀行が日銀当座預金から引き出すときに日銀は紙幣を印刷していると考えればいいと思います。
国債の債務者( 金を借りている方 )は政府であり、国債の債権者( 金を貸している方 )はその国債の保有者です( 日銀は政府と同体なので除きます )。つまり、民間が保有する国債において、政府はその分だけ負債をかかえていて、民間はその分だけ資産を持っているのです。日本の国債はすべて円建てであり、日銀は円の紙幣を自由に印刷することができ、日銀は政府の一部のようなものです( 統合政府 )から、いくら政府が国債を発行しても国の財政が破綻することはありません。国債の発行過多による危険性は、日銀の国債買い取り時に起きる貨幣創造による、それが過剰になったときの貨幣価値下落による物価高騰です( 本質的インフレ )。