歯車の回転数の錯覚
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2023.10.03


24枚歯の同型の歯車が左右にかみ合ってそれぞれの中心が固定されています。
左側の歯車を時計回りに1自転させると、右側の歯車は反時計回りに1自転します。
2つの歯車とも、各々の歯を1回ずつ使って1自転しました。これは真実です。

これを左側の歯車に乗っている人が観察するとどうなるでしょうか?
誤解は 「 右側の歯車は、反時計回りに1公転する。そして、右側の歯車は24枚の歯を1回ずつ使って自転したのは真実だから、反時計回りに1自転する。」です。
しかし、正解は 「 右側の歯車は、反時計回りに1公転して、反時計回りに2自転する。」です。


 自転公転の相対原理

  観察者にとっての被観察物質の自転の角速度 : ωYJ − ωIJ
  観察者にとっての被観察物質の公転の角速度 :
      被観察物質が観察者の回りを公転している場合 : ωYK − ωIJ
      観察者が被観察物質の回りを公転している場合 : ωIK − ωIJ__

               ωIJ : 観察者の自転の角速度
               ωIK : 観察者の公転の角速度
               ωYJ : 被観察物質の自転の角速度
               ωYK : 被観察物質の公転の角速度



角速度を 単位時間当たりの回転数 で表すことにし、左側の歯車を単位時間で1自転させたとすると、
   ωIJ = −1
   ωIK = 0
   ωYJ = 1
   ωYK = 0

観察者にとっての右側の歯車の自転の角速度 :
      ωYJ − ωIJ =→ 1 + 1 =→ 2
      これは、単位時間で反時計回りに2自転することを表しています。

観察者にとっての右側の歯車の公転の角速度 :
      ωYK − ωIJ = ωIK − ωIJ =→ 0 + 1 =→ 1
      これは、単位時間で反時計回りに1公転することを表しています。


 以上の事実は、「 2枚の十円玉をくっつけて置き、片方を固定させてもう一方をその周りを滑らないように転がして1公転させると、その間に2自転する。」という事実がなかなか受け入れられない人を説得するときに用いる方法です。 他の説得法としては、「 1公転したときに移動する距離は円周の距離ではなく重心の移動距離である。」という事実を指摘する方法があります。

 ※ 参考:
   大学生のための物理学 > 剛体力学 > 相対的歯車回転
   ばいおりんの日常的物理学文集 > 数学と物理学 > 相対的自転数公転数