鹿踊り
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2020.01.30


 愛媛県の南西部の地域では、秋祭りに「鹿踊り」という練りが出ます。これは、江戸時代の初期に伊達家のお殿様が仙台から宇和島に封入して伝わったものです。
 鹿踊りは、4〜7頭の雄鹿が 隠されていた雌鹿を 1 頭見つけ出して、みんなで喜び合う様子を踊ったものだそうです。
 わらじを履いた変声前の少年たちが締め太鼓を胸の前にくくりつけ、その上から赤い布ですっぽりと覆い、頭に立派な角が生えた鹿の面を乗せます。そして「トコトン トコトン」と太鼓を叩きながら歌って舞うのです。

 歌い出しの歌詞は「 回れ回れ水車 遅く回りて関に止まるな 」です。

 水車の目的には2種類あります。一つは、流れる水の運動エネルギーを軸回転の運動エネルギーに変換するというものです。これは杵をついたり臼をひいたり、あるいはタービンを回して電気エネルギーを取り出す目的で使われます。もう一つは、水を汲むというものです。戦後は各地に田んぼに水を汲み上げるための足踏み式の水車がありました。しかし、これは水の運動エネルギーを利用していませんので本当の水車ではありません。水の運動エネルギーを利用して水を汲む水車は「掲水水車」と言われますが、福岡県朝倉市には、田んぼに水を汲み上げる三連水車があるそうです。それはおよそ200年前に設置された最古の現役掲水水車ということです。

 重たい水車を回転させて何か仕事をするためには、単なる川の流れだけでは力不足であり、流れてくる水が落ちるようにしてやる必要があります。たとえば、高い所にある小川から水を引いて水車の上から落としてやるとか、水車の上流をせき止めて水面の段差を作ってから水車に向けて水を放流するとかです。朝倉の三連水車はちょっとしたダムを作って水車を回転させているそうです。

 水力発電で得られる電気エネルギーは、流れ落ちる水の運動エネルギーが変換されたものです。流れ落ちる水の運動エネルギーは、水の位置エネルギーが変換されたものです。水の位置エネルギーは、海水の熱エネルギーが変換されたものです。海水の熱エネルギーは、太陽から届く電磁波のエネルギーが変換されたものです。ですから、太陽から届けられるエネルギーを直接電気エネルギーに変えることのできる太陽光発電に私は未来を託したいと思います。そして、世代が回り回っていくうちに、人間が争うことなく自然と共存して豊かに幸せに暮らせる社会へと近づいていってほしいと願います。


追記 :
 自然に流れる川の水は、持続的に少しずつ持っている位置エネルギーを運動エネルギーに変換しています。それでも平均して加速しないのは、岩にぶつかって音や熱などの他のエネルギーに変換されたり、川底の石や砂などに仕事をし続けているからです。流れの途中に滝がある場合、そこで水の位置エネルギーは一気に大量の運動エネルギーに変換されます。