電子の質量と電荷を求める
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2012.09.26


  電子の質量や電荷はどのようにして発見されたのでしょうか? もう100年以上も前のことになりますので詳細はわかりませんが、 理論的にガイドラインを示すとすれば、 次のようになります。


  電荷の発見の方が先になります。 ミリカンの油滴実験です。 霧状にした油滴に電子を何個かくっつけます。 油滴に比べて電子の質量は非常に小さいので無視してかまいません。 油滴が等速で落下するときは、 重力と空気の抵抗力とが吊り合っています。 空気の抵抗力は速さに比例しますので、 落下速度を測定すれば、 油滴の質量がわかります。 次に、 電場を与えてその油滴に重力と反対方向の力を作用させると、 落下速度が変化して等速上昇に転じます。 そのときの上昇速度を測り、 その後に電場を弱めると、 油滴は再び等速落下運動に転じますので、 そのときの速度を測り、 その後に電場を強めると、 、 というように繰り返して何回かの速度のデーターを取ります。 等速上昇時の速度のデーターを取ったときには、 クーロン力 と 「 重力と空気の抵抗力の和 」 とが吊り合っており、 等速落下時の速度のデーターを取ったときには、 重力 と 「 クーロン力と空気の抵抗力の和 」 とが吊り合っていますので、 それから油滴が持つ電荷がわかり、 それらの平均を取って実験誤差を少なくします。 次に別の油滴に電子を何個かくっつけ、 同様の測定をします。 このようにして多くの油滴の電荷を求めます。 そしてそれらの差を分析すると、 ある値の整数倍になっています。 この値は電子1個が持つ電荷を表しています。


  電子の持つ電荷がわかれば、 電子の質量がわかります。 トムソンの比電荷の実験です。 電子線に電場と磁場を同時にかけて反対方向の力が電子に作用するようにし、 それらが吊り合っているときの電場と磁場の大きさから電子の速さがわかります。 なぜなら次の式が成り立っているからです。
    
  次に電場だけをかけて、 電子がどれくらい曲げられるのかを測定し、 電子についての水平方向と垂直方向の運動方程式から求めた理論的な電子の曲げられる程度の式に代入すると、 次の式で与えられる比電荷の値が解ります。
    

  こうして求められた電子の質量と電荷は次のとおりです。