運動する球の中の空間と重力
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2012.06.18


  無重力真空空間の中で、 とても大きな球形の不透明なカプセルが静止しており、 その中に観察者だけが入っています。 球の内壁には摩擦力が働かないとします。

  球に20秒間同じ力を作用させつづけ、 その後、 力の作用を中止しました。 球は20秒間に加速的直線運動を行い、 それ以降は等速直線運動を行います。 このとき、 球の中の観察者にとっての空間は運動しませんし、 球の内壁にとっての空間も移動しません。 しかし、 観察者にとっても球の内壁にとっても空間に重力場が発生します。
  最初の10秒間に観察者に起こったことは、 まず、 観察者に球の内壁が加速度的に近づいてきて衝突し、 観察者は、 数回跳ねた後に、 球の内壁に押し付けられたことです。 あたかも一様な重力場が存在している中で落下したみたいです。 これを「 見かけの一様な重力場 」と言うことにしましょう。「 見かけの一様な重力場 」は幻ではなく、 空間に対して相対的に加速度運動をしている観察者にとっては実際に存在するものです。
  それからあとの10秒間は、 観察者はあたかも球の内壁の上に寝転がっているようでした。 もし観察者がなにか物を真上に放り上げたら、 それはいずれ自分の所へ落ちてくると思われました。 このときも、 先ほどと同じ「 見かけの一様な重力場 」が存在していました。
  20秒後以降は、 観察者にとっても球の内壁にとっても元の無重力状態になりました。


  次に球を等速で自転させました。 このとき、 球の中の観察者にとっての空間は運動しませんし、 球の内壁にとっての空間も移動しません。 しかし、 観察者にとっては空間に重力場は発生しませんが、 球の内壁にとっては空間に重力場が発生します。

  次に観察者の足底を接着剤で球の内壁に接着させた後に、 球を等速で自転させました。 このとき、 球の中の観察者にとっての空間は運動しませんし、 球の内壁にとっての空間も移動しません。 しかし、 観察者にとっても球の内壁にとっても空間に重力場が発生します。 そのために、 観察者は「 見かけの一様な重力場 」の中にいて球の内壁の上に立っているように感じます。 しかし、 もし観察者がなにか物を真上に放り上げても、 それは自分の所へは落ちてこないのです。 それはコリオリの力が働くためです。 というか、 その軌道を観察者の立場から観察したときに、 それを説明するために必要な「みかけの力 」が、 コリオリの力です。 コリオリの力は「 みかけの力 」ですが、 存在しない幻のものではありません。 話を元に戻しますと、 言いたかったことは、 この宇宙ステーションのようなシチュエーションは、「 見かけの一様な重力場 」ではないということです。