もう何年も通っている理髪店です。 散髪中ふと気づきました。 鏡の中の時計が普通なのです。 テレビの中の人はみんな左手で箸を握っているのに。 その時計は、 3時なのに9時を示し、 長針も短針も反時計回りに回転します。 わざわざそういう時計が作られていたのです。

レントゲン写真は、 向かって右側が左腕で、 向かって上側が頭です。
話し相手は、 向かって右側が左腕で、 向かって上側が頭です。
鏡の中の私は、 向かって右側が右腕で、 向かって上側が頭です。
時計を両手で持って鏡の方を向けた時は、 右手は9時の所を持つことになります。
なぜ鏡は、 左右は反転させるけれど、 上下は反転させないのでしょうか?
「 そんなことは、 鏡に聞いておくれ。」
「 テクマクマヤコン、 世界で一番賢い 鏡よ鏡よ鏡さん。 その答えはなあに?」
「 人の目が左右2つあるからじゃないよ。 片目で見ても変りないしね。 詳しいことは、 私に映る被写体に聞いておくれ。」
では実験してみましょう。 目覚まし時計を両手で持って鏡の前に立ってください。 今は時計の裏側が鏡に映っています。 では時計が鏡を向くように180度回転させてください。 鏡の中の時計は左右反転していますか? 私の場合は左右反転してなくて上下が反転しています。 なぜなら、 私は、 重力の方向に対して垂直な方向を軸にして時計を180度回転させたからです。 答えは、「 被写体を鉛直方向の軸で180度回転させて鏡に映したときは左右が逆転した左右反転像になっており、 被写体を水平方向の軸で180度回転させて鏡に映したときは上下が逆転した上下反転像になっている。 普段の生活では、 鉛直方向の軸で180度回転させることがほとんどなので、 そんな疑問が生じるのである。」でした。


立方体を思い浮かべてください。 自分の顔の前にきている立方体の1つの正方形の面を正面として、 その他の面に、 上面、 下面、 右側面、 左側面、 裏面 と名称をつけます。 正面には、 時計の絵が書いてあります。 立方体を正面や裏面に平行な面で切断すると、 その断面には金太郎アメのように同じ時計の絵が現れるものとします。 すると、 裏面には、 左右反転した時計が描かれていることになります。
正面の180度回転とは、 正面と裏面に垂直な軸を中心に180度回転させることです。 つまり、 正面を逆さまにすることです。

左右反転とは、 上面と下面に垂直な軸を中心に180度回転させることにより、 正面を新たに正面になった面( 裏面 )に置き換えることです。 上下反転とは、 右側面と左側面に垂直な軸を中心に180度回転させることにより、 正面を新たに正面になった面( 逆さまにした裏面 )に置き換えることです。 したがって、 上下反転は、 左右反転と180度回転を合成したものであり、 左右反転は、 上下反転と180度回転を合成したものです。
鏡のような現象を起こさせるものには、 版画、 印鑑、 ショーウィンドウに店内で書いた字や絵を店外から見る時、 などがあります。
ではここで、 鏡像についてきちんと理解できているかどうかを確かめる問題を出してみましょう。
(1) 目の前に置いてある時計を、 触れずに180度回転させなさい。
(2) 目の前に置いてある時計を、 触れずに左右反転させなさい。
(3) 目の前に置いてある時計を、 触れずに上下反転させなさい。
(1)の答え : 回れ右をした後、 逆立ちするか股のぞきして時計を見ればいい。
(2)の答え : 背後に鏡を置いた後、 回れ右をして鏡に映った時計を見ればいい。
(3)の答え : 背後に鏡を置いた後、 逆立ちするか股のぞきして鏡に映った時計を見ればいい。
私たちは重力場の中で常に頭が心臓よりも低い位置にならないようにして生活しているために、 実像を見ることから鏡像を見ることに行為を変化させる場合に、 逆立ちをするという方法を取らずに、 振り返るという方法をとるから、 いつも左右反転なのです。 床屋が無重力の宇宙空間にあれば、 もっと早く我々はそのことに気づいていたかもしれませんね。
さて、 逆立ちしたとき、 つまり、 重力場の方向 と「 頭の足に対する位置ベクトル 」の方向を同じにさせたとき、「 上 」は天井でしょうか床でしょうか? 私は、 床が上になると考えていますので、 さきほどの問題(3)の解答をしたのです。 逆立ちをしても、 普通に立っているときと同じように「 天井が上で床が下 」なのであれば、 股のぞきしても、 背後の景色は上下反転したことにはなりませんので、「 鏡は左右反転はするが上下反転はしない 」ということになります。「 そしてそれは、 本当は上下反転もするのだけれど、 重力場の中での上下の定義によるものである。」ということになります。 しかし、 無重力状態であれば、 上下を決めるのは唯一「 観察のしかた 」ですから、 股のぞきすれば背後の景色は上下反転することになります。
思い浮かべてください。 今は夜。 あなたは赤道上にいて、 満天の星空を見ています。 あなたの視野の中心は南極星です。 あなたは180度翻り今度は北極星を中心とする天球の部分に視野を移しました。 このとき、 今まで右側だった所は左側に、 左側だった所は右側に変換しますが、 今まで西だった所や上だったところは、あいかわらず元のまんまです。 続いてあなたは股のぞきをして、 再び南極星を中心とする天球の部分に視野を移しました。 このとき、 今まで左側だった所や西だった所はあいかわらず元のまんまです。 では、 今まで上だった所はどうなっているでしょうか? その答えは、 国際物理学会で定義してもらわないといけないと思うのですが、 私は、「 下に変換される 」方に一票を投じたいと思います。 なぜなら、 そうすると「 左右 前後 上下 」の6つが平等となって観察者の自転によって変幻自在となり、 観察者の自転と関わりのない絶対的な「 東西 南北 天地 」にきちんと対峙することができるようになるからです。 地球の公転・自転がなければ東西南北はありません。 また、 重力場がなければ天地はありません。 しかし、 それらがなくても、 観察者さえいれば、 左右 前後 上下 はあるのです。
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