10年物国債の利回り上昇の原因
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2025.11.19


 メディアで報じられる「 長期金利 」とは、10年物国債の利回りのことです。それは、10年物国債の利回りが長期金利の指標になっているからです。10年物国債は債券市場で日銀や投機家によって売買されています。主な投機家は、生損保、銀行・信託、年金、投資信託、外国機関投機家です。日本銀行は、市場に出回る日銀券の量を調節するため、国債の売買を通じたオペレーションをしています。

 10年物国債の利回りが上昇する主な理由は、景気拡大・インフレ期待の上昇、海外長期金利の上昇、日銀の買いオペ、円安、「 財政破綻懸念 」 などですが、2024年10月以降の10年物国債の利回り上昇の原因は、主に米国の長期国債利回りの上昇によるものです。

 海外債券利回りが上昇して日本の債券利回りとの差が大きくなると、日本の投機家は海外債券の買い注文を増やし国内債券の買い注文を減らすので、日本の債券相場は下落し債券利回りは上昇します。

 不況期には、金融機関の企業への貸出しは減少し預貯金は増えます。そこで景気刺激のための低金利政策がとられると、預貯金の市場金利よりも利回りの高い債券の買い注文が増え、債券相場が上昇し債券の利回りは低下します。これと反対に好況期には、インフレ予防のための金融引き締め政策がとられ始めると、預貯金の市場金利やさまざまな債券の利回りが上昇しますが、金利が額面で長期的に固定されている10年物国債を今の市場価格で買入することは、実質的に低利回りになることが予想されるので、売り注文が増え10年物国債の債券相場は下落し10年物国債の利回りは上昇します。

 為替相場も債券の利回りに関係します。円安局面では、海外債券が結果的に高利回りになることが予想されるので、日本の投機家は、海外債券の買い注文を増やし国内債券の買い注文を減らすので、日本の債券相場は下落し債券利回りは上昇します。

 「 財政悪化懸念 」が10年物国債の売り注文を増やして、10年物国債の債券相場が下落し10年物国債の利回りが上昇する可能性があります。投機家の中にも、財務省を中心とした「 財政破綻懸念キャンペーン 」を信じきっている人たちがたくさんいますので、妄想的にこういうことが起こる可能性はあります。


 長期金利が上昇すると、借金の多い人にとっては困ったことになります。住宅ローンなどの変動金利のローンは返済額が増えます。逆に、預貯金の多い人に取っては、利息は増え、円高になって海外旅行しやすくなったり、安い輸入品を購入しやすくなったりで、ラッキーかもしれません。