「うなり」
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2012.04.04


  ギターを使って、 音の「 うなり 」を体験してみましょう。「 うなり 」とは、音高( ピッチ )がわずかに異なる2つの音が鳴っているとき、 周期的に表れる音の強弱のことです。

  ギターは、 第6弦( 最も太い弦 )から順に、 解放弦が の音名になっています。 第 弦 と 第 弦 との振動数の比はおよそ の関係になっています。 ただし、 第3弦 と 第2弦 との振動数の比だけはおよそ です。

  うなりを体験するには、 きちんと調弦されたギターの 第3弦 と 第2弦 以外 の隣り合う2つの弦を選びます。 そしてハーモニックという技法で音を鳴らします。 ハーモニックとは、 左手の指で弦に軽く触れてから右手で弦を(はじ)き、 その直後に左手の指を離すことによって鳴る、 高い神秘的な音のことです。 たとえば、 第6弦 と 第5弦 を選んだとしましょう。 まず、 第6弦のナットから全長の4分の1の所( 5フレットの所 )でハーモニー音を出します。 解放弦の音よりも2オクターブ高い E の音になります。 その直後に、 第5弦のナットから全長の3分の1の所( 7フレットの所 )でハーモニック音を出します。 同じピッチの音になります。 第5弦をわずかに緩めたり張ったりして「 うなり 」の程度を変化させてみてください。 最後は、 第5弦を「 うなり 」のない状態から、 若干張ってわずかに「 うなり 」があるとことろで終了してくだい。 きちんと調弦されたギターに戻してやるのです。

        

        

        


 「 うなり 」が消えるところが、 2つの音が全く同じ高さ( ピッチ )になったところです。 こうして、「 うなり 」がないようにギターを調弦していきますと、 きちんとした調弦にはなりません。 なぜなら、 ギターは純正調楽器ではなく、 平均律楽器だからです。 ギターの 第3弦 と 第2弦 以外の隣り合う2つの弦の振動数の比は、 よりも若干比率が大きくなっているのです。 それは、 5度の和音において、 ド の音の振動数比を とすると、 ソ の音の振動数比は、 純正調は 、 平均律は になっているからです。( ソ の音 と 1オクターブ高いド の音の音程は 4度 です。)



十進BASIC のプログラムを使って、「 うなり 」を視覚化してみましょう。

< プログラム その1 >   a = 1. 12 から初めて 0. 04 ずつ小さくしていき、 最後は、 1. 02  1. 01  1. 00 で、
「 うなり 」が消失します。


< プログラム その2 ( 振動数の差 = 1秒間あたりのうなりの回数 ) >   a = 3 から初めて 1 ずつ小さくしていき、 最後は0で「 うなり が消失します。



( 付 録 ) うなりの正体

波動関数は次のように表されます。
    

振幅が で振動数の差が の2つの波を合成してみます。
  

    

  ここで、 を時間や距離によって変化する振幅であるとみなします。 また、 振動原点における振動のみに注目しますと、 となって、 時間のみによって変動する振幅とみなすことができます。 振幅は波のエネルギーの要素ですので、 音で言うと、 その大きさを決める因子になります。

  になった後に、 次にまた になるまでの時間は次のようになります。
    
  以上より、 振幅は 間隔で大きく変動することになります。 ということは、 1秒間に 回 振幅が大きく変動することになります。 これがうなりの回数です。 振動数の差が で1秒間に 回 うなるということは、「 1秒間あたりのうなりの回数は、 合成される波の振動数の差に等しい。」ということになります。 具体的に言うと、 では1秒間に1回うなり、 では1秒間に2回うなるということです。