原子炉の中で起こっていること
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2017.04.02


  広島に落とされた原爆の材料はウラン235で、 長崎に落とされた原爆の材料はプルトニウム239です。 ウラン235は原子力発電の核燃料です。 原子力発電の原子炉の中では、 核分裂放射性核崩壊 が起こっています。

  鉱山から産出されるウランはウラン238が99.3%を占め、 残りがウラン235です。 ウラン235は放射性崩壊や核分裂を起こしますが、 ウラン238は放射性崩壊は起こしますが核分裂を起こしません。

  元素のうち陽子の数が等しくて中性子の数が異なるものを同位元素( アイソトープ )といいます。 そのうち原子核が放射性崩壊をするものを放射性同位元素といいます。

  ウラン235は92個の陽子と143個の中性子と92個の電子から成り立っており、 ウラン238は92個の陽子と146個の中性子と92個の電子から成り立っており、 プルトニウム239は94個の陽子と145個の中性子と94個の電子から成り立っています。

 プルトニウム239はウラン238が放射性崩壊をして作られます。
     ウラン238 + 中性子 → ウラン239 → ( β 崩壊 ) →
         ネブツニウム239 → ( β 崩壊 ) → プルトニウム239

  原子力発電の核燃料の中にはウラン238が3%未満含まれていますので、 原子力発電の副産物としてプルトニウム239ができます。

  核分裂を起こしやすい元素は、 重くて、 陽子数 × 中性子数 が奇数になっています。 核分裂は爆発的に起こります。 最初に一個の中性子が元素にぶつかって核分裂を起こしたときに、 新たに出てきた中性子が隣の元素にぶつかって核分裂を引き起こし、 そこで新たに出てきた中性子が ・ ・ ・ ・ ・ と、 連鎖反応が起こるのです。

  ウラン235の核分裂にはさまざまなものがありますが、 有名なのは次の2つです。
    ● ウラン235 + 中性子
             → ヨウ素131 + イットリウム103 + 中性子2個
    ● ウラン235 + 中性子
             → セシウム137 + ルビジウム95 + 中性子4個

  なぜ有名なのかというと、 ヨウ素やセシウムは、 半減期が一週間以上あるために汚染された物質が人間に取り込まれやすいこと、 また、 いったん体内に入ると排泄されにくく、 内部被曝量が大きくなるからです。

  放射性崩壊には、 次のようなものがあります。

α 崩壊
 α粒子( ヘリウムの原子核 : 陽子と中性子が2個ずつ )が放出されます。
 例 : ウラン238 → トリウム234 + ヘリウム4   ( 半減期 44.8億年 )
     ウラン235 → トリウム231 + ヘリウム4   ( 半減期 7.04億年 )

β 崩壊
 中性子が陽子と電子と反ニュートリノに変化し、 電子と反ニュートリノが放出されます。
 例 : セシウム137 → バリウム137 + 電子 + 反ニュートリノ   ( 半減期 30.1年 )

陽電子崩壊 ( 逆β崩壊 )
 陽子が中性子と陽電子とニュートリノに変化し、 陽電子とニュートリノが放出されます。
 例 : フッ素18 → フッ素18 + 陽電子 + ニュートリノ   ( 半減期 110分 )

γ (ガンマ) 崩壊
 α 崩壊とβ 崩壊だけでは安定化しないとき、 γ 線が放出されます。 γ 線 は X線 よりも波長の短い電磁波です。 γ 崩壊では陽子や中性子の数は変化しません。
 例 : バリウム137 → バリウム137 + γ


  電子捕獲 は、 軌道電子が核内に取り込まれ、 陽子と結合して中性子とニュートリノに変化する現象です。 これより、 次の式が導かれます。
    陽子 + 電子 → 中性子 + ニュートリノ

この式と、 次の逆β 崩壊の式とを見比べてください。
    陽子 → 中性子 + 陽電子 + ニュートリノ

また、 次のβ 崩壊の式とを見比べてください。
    中性子 → 陽子 + 電子 + 反ニュートリノ

電子 + 陽電子 ⇔ 0 であり、 ニュートリノ + 反ニュートリノ ⇔ 0 ですから、 次の式が成り立ちます。
    陽子 + 電子 ⇔ 中性子 + ニュートリノ