うたごえ喫茶の絆
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2012.04.07


  真空で、 かつ、 重力などの力が作用する場のない空間においては、 自らが移動し続けるためには、 最初に自分または他の物質が持っているエネルギーを、 力を介して自らの運動エネルギーに変換しておきさえすればいい。 そういった空間の中で他の物質を移動させ続けるためには、 最初に、 自分または他の物質またはその物質が持っているエネルギーを、 力を介してその物質の運動エネルギーに変換しておきさえすればいい。
  しかし、 地球上ではそうはいかない。 地球上では、 重力が作用し続け、 移動中に接触する物質の摩擦力や空気の抵抗力が作用し続ける。 自らが移動し続け、 他の物質を移動させ続けるためには、 断続的でもいいが、 これらの移動を妨げようとする力に等しいかそれ以上の力を、 与え続けなければならない。 この原理は、 物質の移動のみに非ず、 地球上で繰り広げられるすべての社会的運動についてもあてはまる。

  敗戦後の5年目から20年目の間に、「 うたごえ運動 」が盛んに行われた。 労働組合の文化活動で、 うたごえ喫茶で、 アコーディオンを伴奏に、 知らない者同士が肩を組み、 声を張り上げ、 労働組合運動歌 や 革命歌 や 反戦歌 や ロシア民謡 を歌った。 また、 この間にたくさんの歌が生まれた。 初期の「 うたごえ運動 」は民主主義的思想の上に社会主義的思想が色濃く、 途中からそれが薄まっていく中で、「 ジャズ や ポップス はアメリカ帝国主義の日本への文化侵略だ!」とか「 演歌 や 歌謡曲 は単なる大衆迎合だ!」などの真剣な意見が出て、 うたごえサークル内で対立がおこるようなことも多々あったそうである。

 「 うたごえ運動 」が広まっていくうちに、 次第にそれは男女交際のきっかけの場としての意義のほうが強くなっていったのではないだろうか。 最近、 都会では、 60代以上の人たちがうたごえ喫茶に集っているという。「 うたごえ運動 」が広めた歌の数々を、 共通の愛唱歌としていた世代にとっては、 心さわいだ青春の思い出なのだろう。 今になってその世代の人たちが労働歌をやっきになって歌っているんだろうかと思って、「 うたごえ喫茶の世界CD全10巻 」の曲目を調べて見ると、 全体の1割にも満たないくらいであった。


1948年 ( 昭和23年 )
1950年 ( 昭和25年 )
1954年 ( 昭和29年 )
1955年 ( 昭和30年 )
1959年 ( 昭和34年 )
1962年 ( 昭和37年 )
1964年 ( 昭和39年 )

 1950年代に中東やアフリカで相次いで大油田が発見され、 欧米ではエネルギーの主役が石炭から石油へと移行した。 日本においても1962年( 昭和37年 )の「 原油の輸入自由化 」をきっかけとして、 石炭から石油へと「 エネルギー革命 」が起こった。

 「 合理化 」が吹き荒れる斜陽産業の炭鉱業界にあって、 激しい抵抗運動を繰り広げた三池労働組合からは、 荒木栄という労働歌の作詞・作曲家が誕生した。 彼は福岡県大牟田市出身である。「 うたごえ喫茶の世界CD全10巻 」の中にも彼の曲が何曲か選曲されている。 共同浴場のある横板張りの社宅に住み、 薪ストーブスがある昔の小学校の職員室のような労働組合支部に定期的に集まって、 労働組合運動論を自分たちの日々の暮らしに照らし合わせながら勉強し、「 絆くずし 」の差別攻撃に対しても前向きな心を失わないように、 家族ぐるみで支え合ってきたとのことである。 当時の労働組合員の「 絆 」は、 今どきの綺麗ごとの「 絆 」とは異なり、 裏切りのある中での大変に重たいものだったのだ。 そのせいか彼の曲からは家族的な温もりや人間らしさがにじみ出ている。 参考までに、 彼の曲の1つ と 三池炭鉱労働組合の歌 の歌詞の1番のみを掲載させていただく。


三池の主婦の子守唄
          ( 1960年 作詞作曲: 荒木栄 )
  雨のふる夜は つらかろね
  ホッパーにらんで 夜明けまで
  無口のあんたが 火を囲む
  ビニール小屋に 届けたい
  腹巻 綿入れ 玉子酒


三池炭鉱労働組合の歌   炭掘る仲間
          ( 1956年 作詞: 不明 作曲: 小林秀雄 )
  みんな仲間だ 炭掘る仲間
  ロープ のびきる まおろし切羽
  未来の壁に たくましく
  この つるはしを 打ち込もう


追伸 :
  ホームページ 「 うたごえサークル『 おけら 』 ( https://bunbun.boo.jp ) 」 を参考にさせていただきました。 ありがとうございました。

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