マスコミサービス商品の価格
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2014.01.12
私にとっては、 昭和の歌姫は、 美空ひばり と ちあきなおみ です。 美空ひばりは、 参加型の歌手でした。 音痴で自己表現の下手な聴衆も、 ひばりと一緒なら、 心の中で一緒に歌って泣いたり笑ったりすることができたのです。 彼女には、 それを可能にする「 間 」がありました。 ちあきなおみは、 俳優型の歌手でした。 聴衆は、 彼女の演じる人生劇場を、 我を忘れて聞くことができたのです。 彼女には、 それを可能にする「 色気 」がありました。 森山直太朗さんはNHKの亀田音楽専門学校の中でこう言っています。「 泣きながら歌うんじゃなくて歌の中で泣くんです。」プロの歌とは何か、 神髄に迫る言葉でした。
芸能やプロスポーツなどのサービス業も、 サービス商品の生産と流通と販売と消費だと思います。 入場券を購入して、 プロの作るサービス商品を見たり聞いたりする( その商品を消費する )ことのできる人はわずかですが、 テレビを主体とするマスコミュニケーションのお陰で、 大勢の人たちがプロの作るサービス商品を見たり聞いたりすることができるようになりました。 しかし、 この場合、 テレビの前の聴衆は消費者ではありません。 マスコミが取り扱うサービス商品の買い手であり消費者であるのは、 そのサービス商品の放映という消費のときに一緒にコマシャルを流すスポンサーの企業であり、 そのサービス商品の消費の目的は、 テレビの前の聴衆に対してその企業が生産した商品の購買意欲を高めることです。 したがって、 視聴率の高いサービス商品は受容と供給との関係から価格が上がります。
マスコミニケーションは、 サービス商品の生産者と視聴者とをつなぐ媒体です。 媒体とは媒介を担う物質のことであり、 媒介とは離れた場所にエネルギーを持った何かを伝える手段のことです。 結局、 物とは、 作る人あっての物であり、 また、 その物質の消費の恩恵に与る(あずかる)人あっての物であり、 作る人と使う人とが通じ合うものなのだと思います。 昨年の日本シリーズで優勝した楽天の星野仙一監督は、 優勝パレードの後に「 おめでとう 」という言葉よりも「 ありがとう 」という言葉に感動したと言っておられます。 彼もまた、 元巨人軍の長嶋茂雄さんと同様、 消費の恩恵に与る人の立場から物づくりをすることのできた本当のプロであると思います。 結局、 秀でた素質を持っているとともに、 消費者の立場から自分の芸を磨き上げることのできた人が、 素晴らしいプロに成長し、 そして高価なサービス商品を生産することができるのだろうと思うのです。