どうして今年は台風が少ないの?
気象と物理学 へ戻る
ばいおりんの日常的物理学文集 へ戻る
2020.07.28_______
(1) 地球規模での単純化された幹的海流について
単純化された幹的海流は立体的です。 グリーンランド海 ( ノルウェーの北西側 ) では上層流から下層流への沈み込みがあり、 インド洋では下層流から上層流への湧き上がりがあり、 ベーリング海沖 ( アラスカの南東側 ) の太平洋では下層流から上層流への湧き上がりがあります。
南極海を東向きに回流している下層流には、 グリーンランド海からくる下層流が合流し、 また、 インド洋に向かう下層流 と 太平洋に向かう下層流 が分岐しています。 ベーリング海沖で湧き上がってきた上層流は、 太平洋を南下してオーストラリアの北側を抜け、 インド洋で湧き上がってきた上層流と合流した後、 南アフリカの喜望峰沖を回って大西洋を北上しグリーンランド海へと向かいます。
参考 : 気象庁HP > 知識・解説 > 気象と海洋 > 深層循環の変動について
https://www.data.jma.go.jp/gmd/kaiyou/db/mar_env/knowledge/deep/deep.html
(2) 今年はインド洋での湧き上がりが盛んである
以上は、 単純化された幹的海流のお話しでしたが、 実際の海流はもっと複雑です。 そこで、 これもモデル的ではありますが、 幹的海流にはいくつもの枝的海流が付属していると考えてください。 枝的上層流の所々では部分的な沈み込みが起こっていますし、 枝的下層流の所々では部分的な湧き上がりが起こっています。 今年はインド洋での湧き上がりが盛んになっているため、 太平洋の上層流はいたるところで逆流したり、 下層流への沈み込みが起こったりしていますので、 太平洋の下層流の湧き上がりは極端に少なくなっています。 湧き上がりのある海面の周辺では、 冷やされた空気が暖かい空気の下に潜り込んで上昇気流を生み熱帯低気圧を発生させ発達させます。 したがって、 下層流の湧き上がりが少なくなっている太平洋では、 台風が発生しにくくなっているのです。