肝障害があると高値になる血液中の物質Pを治験薬の投与前後で比較することによって、 その薬が肝障害に効果があるかどうかを判定することにします。
治験者は肝障害のある人たちの集まりである母集団A の中から無作為に8人を選出することにします。 母集団A の全員にプラセーボ投与前後で物質Pの変動値を調べたところ、 平均値は 0 でしたが、 正規分布ではありませんでした。 8人の検体のデーターを次の表に示しますので、 この治験薬が肝障害に対して有効かどうかを検定してください。
| 検体番号 | 投与前 | 投与後 | 前 − 後 | 差 | 訂正順位 |
| 1 | 395 | 385 | 10 | 10 | 2 |
| 2 | 373 | 400 | −27 | 27 | 4 |
| 3 | 430 | 330 | 100 | 100 | 7.5 |
| 4 | 457 | 387 | 70 | 70 | 6 |
| 5 | 510 | 504 | 6 | 6 | 1 |
| 6 | 405 | 425 | −20 | 20 | 3 |
| 7 | 380 | 280 | 100 | 100 | 7.5 |
| 8 | 396 | 344 | 52 | 52 | 5 |
母集団が正規分布でない場合は t 検定は使えません。 ノンパラメトリックの Wilcoxon の符号順位検定を用います。 Wilcoxon の符号順位検定の数表を見ますと、 サンプル数 8 のとき、 有意水準 5 % で、 R = 3 以下 です。
帰無仮説 : 治験薬は肝障害に対して何も影響を与えない。
上の表から、 投与前より投与後に数値が増加した( 肝障害が悪化した ) グループの方が小数派であることが判りますので、 そのグループの訂正順位の総和がRの値になります。 つまり、 R = 7 > 3 です。
したがって、 帰無仮説は棄却されません。 よって、 有意水準 5 % の条件下で、 この治験薬は肝障害に対して効果があると断言することはできません。
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