仰向けに寝ると、 胃はおよそ3分の2が体の中央よりも左手側にあり、 胃の前面はほんの少し左側を向いています。 胃は釣り針状になっており、 筒状の胃の内面は、 順に、 前壁、 大彎、 後壁、 小彎 の4つの領域に区分されます。
胃を体内の左右に1つずつ存在している2つの直方体とみなします。 直方体の体積は、 左:右 = 4:1 です。 この直方体の内面のうち上面と下面を除く4つの面に、 レントゲンを通さない硫酸バリウム液をうっすらと乗せてレントゲン写真を撮ると、 面の微小な凹凸が浮かび上がってきます。 これが二重造影法の原理です。 二重造影法では、 基本的には体をほぼ水平にして撮影しますが、 うつ伏せにして胃の前壁の写真を撮るときは、 大量のバリウムが前壁を覆ってしまうので、 頭を低くしてバリウムを胃の上側に移動させてからレントゲン写真を撮ります。
二重造影法は昭和45年頃に白壁医師によって開発されたもので、 世界的にも現在の胃造影レントゲン撮影のスタンダードになっています。 炭酸ガスを発生する発砲錠を飲んで膨らませた胃の胃壁に硫酸バリウム液を乗せてレントゲンを撮るので、 炭酸ガス と バリウム の二重という意味で二重造影法と命名されました。
体内の左右に1つずつ存在している2つの直方体の側面の二重造影を撮るのは困難です。 なぜなら、 そうしようとすると2つの直方体が重なってしまうからです。 そこで、 まず、 直方体の後面が写る仰向けの姿勢か、 前面が写るうつ伏せの姿勢にしておいてから、 モニター画面を見ながら、 少しずつ側臥位に向けて体を回転させながらレントゲン写真を撮ります。
これから、 胃の造影レントゲン撮影をしているときのモニター画面の中の動画に関する法則性について述べます。 なお、 ここで言う体の内側とは、 体を正面から見て背骨に近い場所を示します。 また、 レントゲン台は水平にしたままであるとします。 硫酸バリウム液は常に低い所に集まってくることを念頭に置いて読んでください。
体の内側にある側面が体を回転させることによって造影されるようになるときは、 モニター画面上では、 必ず体の内側の方から次第に体の内側にある側面がバリウムを浴びて写ってくるようになり、 体の外側にある側面が体を回転させることによって造影されるようになるときは、 モニター画面上では、 必ず体の外側の方から次第に体の外側にある側面がバリウムを浴びて写ってくるようになります。
仰向け姿勢から次第に左下横向きになるよう体を回転したときは、 体の左手側にある直方体は、 体の外側にある側面が次第にバリウムを浴びて写ってくるようになり、 体の右手側にある直方体は、 体の内側にある側面が次第にバリウムを浴びて写ってくるようになります。実際は、 仰臥位第1斜位( 右前斜位 )化により、 胃体中下部大弯 と 胃前庭部小弯 とが写ってくるようになります。
仰向け姿勢から次第に右下横向きになるよう体を回転したときは、 体の左手側にある直方体は、 体の内側にある側面が次第にバリウムを浴びて写ってくるようになり、 体の右手側にある直方体は、 体の外側にある側面が次第にバリウムを浴びて写ってくるようになります。実際は、 仰臥位第2斜位化により、 胃体中下部小弯 と 胃前庭部大弯 とが写ってくるようになります。
うつ伏せ姿勢から次第に右下横向きになるよう体を回転したときは、 体の左手側にある直方体は、 体の内側にある側面が次第にバリウムを浴びて写ってくるようになり、 体の右手側にある直方体は、 体の外側にある側面が次第にバリウムを浴びて写ってくるようになります。実際は、 伏臥位から左回りにより、 胃体中下部小弯 と 胃前庭部大弯 とが写ってくるようになります。
うつ伏せ姿勢から次第に左下横向きになるよう体を回転したときは、 体の左手側にある直方体は、 体の外側にある側面が次第にバリウムを浴びて写ってくるようになり、 体の右手側にある直方体は、 体の内側にある側面が次第にバリウムを浴びて写ってくるようになります。実際は、 伏臥位から右回りにより、 胃体中下部大弯 と 胃前庭部小弯 とが写ってくるようになります。
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