弥次郎兵衛
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2012.01.07


  十返舎一九の滑稽本「 東海道中膝栗毛 」が書かれたのは1800年に入ってすぐの頃です。 そのとき日本の伝統的玩具のやじろべえがあったのかどうか? 最初のやじろべえはドングリと竹ひごで作られたのではないかと勝手に想像するのですが。 やじろべえは英語では balance toy と言われるそうです。
  ビデオカメラの手振れ防止機構の一つに、「 ステディカム 」というのがありますが、 これは、 やじろべえの原理を利用したものです。 つまり、 カメラそのものを持つことをやめ、 カメラをやじろべえに取り付けて、 やじろべえの支点に抗力を与えている台座を握って移動しながら撮影するという方法をとります。 また、 やじろべえの原理は、 建造物の耐震性への応用も期待されています。


  剛体が支点を中心にして重力による力のモーメントの作用で回転しているときは、 剛体の重心にだけ剛体の質量に重力加速度をかけた大きさの下向きの力が働いていて、 その力のモーメントによって剛体が回転していると考えることができます。
  剛体の重心は、 重力によって、 最も位置エネルギーの低い所へと向かわされます。 また、 重心は、 支点があるときは、 重力による力のモーメントによって、 支点の真下へと向かわされます。 そのために、 重心が支点よりも位置エネルギーの高い位置にあるときは、 支点を含む鉛直線から離れていこうとします。 これを「 剛体が倒れつつある。 ( 私どもの方言では、 倒れよる。)」と言います。 また、 重心が支点よりも位置エネルギーの低い位置にあるとき、 支点を含む鉛直線に近づいていこうとします。 これを「 剛体が起き上がりつつある。( 私どもの方言では、 起き上がりよる。)」と言います。 やじろべえは、 後者の「 剛体の起き上り現象 」を利用しています。 重心が支点よりも下にあって、 その距離が長いほど安定性がいいのです。