陰性残効
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2018.06.07
強い赤色光を当ててできる物体の影は、 赤の中の黒として見えます。 そこに、 その影を含めた広い範囲に、 明るい白色光を当てます。 ここで言う白色光とは、 太陽光とは違い、 赤色光 と 緑色光 と 青色光 が均等に混じったものです。
影の部分からは極弱い赤色光が反射していますが、 それは影以外の部分から反射している赤色光に比べると微々たるものであり、 また、 白色光に含まれる赤色光に比べても微々たるものです。
私たちの感覚には、 強い刺激に対しては鈍感になろうとする無意識の生理反応があって、 この場合には、 赤色光に対する感度を下げるようになります。 そのために、 影の部分で反射される白色光は、 緑色と青色が優位な 薄い青緑色( シアン )に見えるのです。
これは「 陰性残効 」と言われます。 名前のとおり、 この現象は強い刺激がなくなってからもしばらく続きますので、 白色の所に補色が見える 残存現象 を起こします。 補色とは、 光の3元色( 赤色光 と 緑色光 と 青色光 )で作られる色の光に 光の3元色で作られるある色の光 を加えると白色光となるような 光の色のことを言います。 例えば、 RGB = 9c1af7 の補色は RGB = 63e508 です。
また、 同じ灰色でも、 黒の中の灰色よりも白の中の灰色の方が暗く( 濃く )見えるのも、 この「 陰性残効 」のせいです。
人間の感覚は計測器とは異なります。 それを「 錯覚 」と言うこともあり、「 心理学 」と言うこともあり、「 生理学 」と言うこともあり、「 認識論 」と言うこともあります。 芸術にとってこのことは大変に重要なことなのですが、 相対性理論にはこのようなことを絶対に持ち込んではなりません。