春です。 四国の南西を海岸に沿って足摺岬へと向かう国道は、 ツーリングにとって格好の場所です。 一度オートバイによるツーリングを体験すると、 加速に伴う力、 振動、 風 を体で実感する魅力に取りつかれるんだそうです。
さて、 オートバイでカーブを切る時は、 自転車でやるように両手でハンドルを操作して前輪を移動したい方向に向けるのではなく、 体ごとバイクを曲がりたい方向に倒して曲がるそうです。 これは、 バイクの進行方向に対して垂直になっている車輪の角速度ベクトルに進行方向またはその逆方向の角速度ベクトルを加えることによって、 車輪の角速度ベクトルの方向、 つまり車輪の回転方向、 を変えようとする動作です。 結果としてハンドルは曲がりたい方に向いていきます。 また、 同じ角度でバイクを横に倒した姿勢を続けるということは、 進行方向が変わっている間は、 常にバイクは横向きに倒れ続けていることになり、 車輪には進行方向またはその逆方向に角速度ベクトルが働き続けることになります。 こうしてバイクは円を描くようにカーブを切って行くことになるのです。
道が放物面になっており、 地面が低くなっている方向へカーブ切る時はいいのですが、 平坦な砂利道でバイクのカーブを切るのは、 転倒の危険が高くて危険です。 というのは、 バイクがカーブを切れるのは、 先ほどの角速度ベクトルの合成によるものだけではなく、 向心力が働いているからなのです。 そして、 その平坦な道でカーブを切る時の向心力は、 路面からの抗力の水平成分は
ですから、 もっぱら路面がタイヤに対して作用する進行方向に対して横向きの静止摩擦力によるものだからです。 その静止摩擦力と作用反作用の関係にあるのが遠心力です。 地面に砂利が転がっていると、 その静止摩擦力が低下して、 遠心力の向きにタイヤが横滑りしてしまうのです。バイクの円運動移動は、 拘束条件下で質点が滑って移動する円運動よりも複雑です。 というのは、 質点の運動 と 剛体の運動 の両方が含まれているからです。 質点の運動に関与するものは「 力 」であり、 力には、 重力 や 垂直抗力 や 摩擦力 などがあります。 また、 遠心力などの見かけの力もあります。 そしてその力の主な源泉は重力です。 一方剛体の運動に関与するものは「 力のモーメント 」であり、 その主な源泉は 重力 と 自動運動力( 私の造語: 力学的エネルギーに変換されつつあるエネルギーが発揮している力 )です。
今日の話のまとめとして最後に、 平坦な路面上をバイクがスピードを上げながら曲がっているときに、 バイクに対して作用しているものを、 路上にいる人の立場からみたものを次に列挙しておきます。
エンジンの持つ自動運動力
車輪の角速度ベクトルを大きくする
進行方向へ向かう回転摩擦力( これも私の造語 )を作る
回転摩擦力
バイクの速度を大きくしようとする力となる
回転摩擦力による力のモーメント
エンジンの持つ自動運動力に逆らう
乗り手の持つ自動運動力
重心を移動させて重力による力のモーメントを導く
重力による力のモーメント
バイクを傾け車輪の角速度ベクトルの向きを変える
重力
垂直抗力
静止摩擦力
バイクの速度の向きを変える向心力となる
転がり摩擦力
バイクの速度を小さくしようとする力となる
空気抗力
バイクの速度を小さくしようとする力となる
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