作用反作用の関係にある力は、多数の物質系として見たときに、内力と言われます。保存力以外に内力だけしか働かない物質系では、運動量保存法則が成り立ち、物質系の重心は、静止を含む等速直線運動をします。物質系の重心に並走している観察者の座標系を「 絶対静止系 」と言うことにします。
「 2物質絶対静止系 」において、( 質量 m kg、速度 +v m/kg の 物質A ) と ( 質量 M kg、速度 −V m/kg の 物質B ) があります。すると、次の3つの比はすべて M : m になります。
原点から物質Aまでの距離 : 原点から物質Bまでの距離 = M : m
※ 重心の定義より、 m × M = M × m だから
物質Aの速さ : 物質Bの速さ = M : m
※ 0 = 物質Aの運動量 + 物質Bの運動量 = m × v − M × V だから
物質Aの運動エネルギー : 物質Bの運動エネルギー = M : m
※ 1/2 × m × v 2 : 1/2 × M × V 2 =→ 1/2 × m × ( MV/m ) 2 : 1/2 × M × V 2
=→ M / m : 1 =→ M : m
【 例 題 】
-
簡略化のためにSI単位の記述を省略する。
一様な重力場( 重力加速度 = g )の世界とする。また、摩擦や空気抗力のない世界とする。
台の質量を M とし、ボールの質量を m とする。
ボールと台の壁との反発係数を e とする。
最初、床に対して台は静止している。
基準の高さよりも h 高い所にボールの重心を持ってきて台に接触させてからそっと手を離す。

すると、ボールは台を滑り落ち、台の壁に衝突してから台を滑り上がり、ある高さの所で折り返して再び滑り落ち、再び台の壁に衝突をしてから台を滑り上がり、・・・ という運動を繰り返すと共に、台は床に対して右方向に移動したり左方向に移動したりを繰り返す。
(1) ボールと台の壁が最初に衝突するときの、床に対するボールと台の速さを求めよ。
(2) ボールと台の壁が最初に衝突した直後の、床に対するボールと台の速さを求めよ。
(3) ボールと台の壁が最初に衝突した後、ボールは高さの基準よりどれくらい高いところまで戻ってくるか?
-
これは、保存力以外に内力だけしか働かない物質系なので、運動量保存法則が成り立ち、かつ、物質系の重心は静止を含む等速直線運動をします。初期条件で物質系の重心は静止しているので、その後も物質系の重心は静止し続けます。ということは、床の上で静止している観察者の座標系は「 絶対静止系 」になります。
(1)
-
ボールと台の壁が最初に衝突するときの、床に対するボールの速さを v とし、床に対する台の速さを V とします。( v は右向きで、V は左向きです。)すると、絶対静止系の特徴より、次の2つのことを言うことができます。
v : V = M : m ・・・ @
1/2 × m × v 2 : 1/2 × M × V 2 = M : m ・・・ A
また、力学的エネルギー保存の法則より、次の式が成り立ちます。
mgh = 1/2 × m × v 2 + 1/2 × M × V 2 ・・・ B
A と B より、
1/2 × m × v 2 = mgh × M / ( M + m )
よって、

@ と C より、

-
ボールと台の壁が最初に衝突した直後の、床に対するボールの速さを v1 とし、床に対する台の速さを V1 とします。( v1 は左向きで、V1 は右向きです。)「 絶対静止系 」なので、v1 = ev かつ V1 = eV が成り立ちますので、 v1 と V1 はそれぞれ次のようになります。


※ 参照: 大学生のための物理学 > 力学 > 2物質系の重心速度
-
ボールと台の壁が最初に衝突した後、ボールは基準の高さより x 高いところまで戻ってくるとすると、そのとき、ボールは台に対して静止します。ボールと台の運動量の和は常に0なので、このとき台は床に対して静止することになります。ということは、次の力学的エネルギー保存の法則が成り立ちます。
1/2 × m × v1 2 + 1/2 × M × V1 2 = mgx
よって、
1/2 × m × (ev) 2 + 1/2 × M × (eV) 2 = mgx ・・・ D
B と D より、
e 2mgh = mgx
よって、
x = e 2h
力学 へ戻る