(1) 完全非弾性衝突 と 完全弾性衝突 での 運動エネルギー伝達効率
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―――― 同じ質量の物質の正面衝突の場合 ――――
静止している質量

の球に 速さ 
で等速直線移動している質量 
の球が正面衝突し、 それが完全非弾性衝突であるとすると、 両者はくっ付き、 速さ 
で等速直線運動することになります。 それは運動量保存の法則が成り立っているからです。 最初に静止していた球の立場からすると、 衝突によって受け取った運動量は
であり、 衝突によって受け取った運動エネルギーは
になります。 衝突してきた相手が最初に持っていたエネルギーは
で、 それが衝突後には
になります。 運動エネルギーの伝達率は
です。 なぜなら、次の式が成り立つからです。
このときに、 熱エネルギーに変換される運動エネルギーの量は
です。 また、 位置エネルギーは衝突の前後で変化していません。完全非弾性衝突 が 完全弾性衝突 に替わっている以外はすべて同じ条件で2つの球が衝突した場合は、 移動していた球が静止し、 静止していた球が速さ

で等速直線移動することになります。 それは運動量保存の法則と力学的エネルギー保存の法則が共に成り立っているからです。 最初に静止していた球の立場からすると、 衝突によって受け取った運動量は
であり、 衝突によって受け取った運動エネルギーは
になります。 衝突してきた相手が失ったエネルギーは
なので、 運動エネルギーの伝達率は 
です。 このとき、 熱エネルギーに変換される運動エネルギーの量は
です。 また、 位置エネルギーは衝突の前後で変化していません。運動エネルギーの伝達率を「 運動エネルギー伝達効率 」と言うことにします。 完全非弾性衝突 と 完全弾性衝突 では、 運動エネルギー伝達効率は、 完全弾性衝突の方が強く、「 質量の等しい2つの物質の正面衝突が完全弾性衝突であるときは、 運動エネルギー伝達効率は

である。」と言うことができます。-
外部からの振動や衝撃などの運動エネルギーによって、 物質が変形したり破壊されたりしないようにする工夫は、 いたるところに見られます。 たとえば、 畳の上に板を敷いてからその上に机の脚を乗せて、 外力をなるべく広い面で受け止めるようにして、 局所的な圧力を低下させたり、 速いボールを補球する時に、 伸展させた腕を素早く屈曲させながら補球し力の作用時間を延長して、 単位時間あたりの外力を減らしたり、 ボーリングのレーンに油を塗って、 摩擦力を低下させたり、 とさまざまです。 その中で最も多いのは、 ある物質から他の物質への運動エネルギー伝達の間に入って、 運動エネルギーを他のエネルギーに変換して運動エネルギー伝達効率を低下させる工夫です。 この働きを「 クッション作用( 物理学的緩衝作用 )」と言うことにしましょう。
運動エネルギーを剛体の塑性変形のためのエネルギーへと変換するクラッシャブルゾーン
車のボンネットは、潰れやすく作っている。
大切な所を守るための犠牲である。
運動エネルギーを化学エネルギーへと変換するディースリーオーは、 普通の状態では粘性を持っているが、 衝撃で瞬時に硬化する。
運動エネルギーを摩擦による熱エネルギーへと変換する建築物の地震による揺れを緩和する、 制震ダンパーがある。
ダンパーは狭い穴で繋がった2重筒の内筒にシリンジがあって、 シリンジの往復運
動によって、 充填された液体が内筒と外筒の間をいったりきたりする。
運動エネルギーを弾性位置エネルギーへと変換するスポンジ や ゴム や バネ
ただし、 弾性位置エネルギーは再び運動エネルギーに変換されようとする性質があ
るので、 それがすぐに起こってしまうと、 衝撃吸収にならなくなる。 したがって、 今度
は、 弾性位置エネルギーを運動エネルギー以外のエネルギーに変換させるような機
構が必要になってくる。 それを担う代表が、 バネと一緒に伸び縮みさせるダンパーと
いう装置である。
また、 ゴムなどは弾性変形している間に分子の摩擦により一部のエネルギーを熱エ
ネルギーに変換する。
弾性変形も限界を超えると塑性変形へと質的転換を起こしてしまうので、 クッション
作用のための道具が破損することがある。
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固定された物質に対して他の物質が衝突してきて跳ね返るときに、 バネが介在すると、 跳ね返った後に衝突してきた物質の運動エネルギーが比較的に元の量に近くなります。 その分だけ、 塑性変形のためのエネルギーへと変換されにくくなっていますので、 衝突する2つの物質は、 塑性変形しにくい、 つまり、 破損しにくいと言えます。 野球のバッターが打ったボールがピッチャーに当たった時に、 解説者が「 あまりボールが跳ね返らなかったので、 骨折が心配ですね。」と言っているのを耳にしますが、 そのとおりだと思います。
ときどき、「 反発係数 」と「 ばね定数 」とを混同してしまうことがありますが、 まったく別の物理量ですので、 注意してください。 バネが介在すると、「 反発係数 」は大きくなって完全弾性衝突に近くなることは事実です。 バネによる反発係数増大の働きは「 トランポリン作用 」と言うようにしたら混同しにくくなるかもしれませんね。
反発係数は、 正の数で表されます。 正面衝突のときの衝突の前後で、 相対的な速さの比をとったものです。 物質が球状をしている
ときは、 その質量や速度や衝突面によって変わることはありません。

私の思いつくままに、 ばねを分類してみましたが、 これ以外にもあると思います。
コイルばね( スプリング )
渦巻バネ( ゼンマイ )
板バネ
空気バネ
ねじりコイルばね( トーションバーばね)
竹の子バネ
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