完全弾性衝突では、 運動量保存法則が成り立つのはもちろんですが、 力学的エネルギー保存の法則も成立します。 一様な重力場の下で摩擦力や空気などの抵抗力が作用しない平面上に質量

の球A が静止しているとします。 また、 速さ
で等速直線運動をしている、 質量
の球B と 質量 2
の球C があります。 球B による 球A への完全弾性正面衝突
運動量保存法則 :

運動エネルギー保存法則 :

この2つの連立方程式を解くのは難しそうなので、 球A に対して、 球B の運動方向と同じで、 速さ
で等速直線運動している観察者の立場に立って考えてみます。運動量保存法則 :

運動エネルギー保存法則 :

ではないかと予想がたちますので、 上記の式たちに当てはめてみましょう。 みごとに成り立っていますね。 そこで元の観察者の立場に戻りますと、 衝突後のそれぞれの速さは次のようになることが解ります。
したがって、 質量が等しい場合の完全弾性正面衝突は、 衝突により静止している方が動き出して、 運動している方が静止することが解りました。
球C による 球A への完全弾性正面衝突
運動量保存法則 :

運動エネルギー保存法則 :

ここで、 2つの物質が完全弾性正面衝突した場合は、 衝突の前後で2つの物質の相対速度の大きさは変わらない ことをお知らせしておきます。 そこで次のように置きます。

これを運動量保存法則の式に代入します。


したがって、 次のようになります。

これを運動エネルギー保存法則に代入します。

したがって、 整合性があることがわかります。
ここで、 上記の2つの完全弾性正面衝突について、 球A が受け取るエネルギーを比べてみましょう。
球B が持っていた運動エネルギー :

球A が 球B から受け取った運動エネルギー :

エネルギー伝達率 :

球C が持っていた運動エネルギー :

球A が 球C から受け取った運動エネルギー :

エネルギー伝達率 :

以上のことより、 一見、 速さは同じで質量だけが2倍になれば、 球A が受け取る運動エネルギーは2倍になりそうですが、 実際はエネルギー伝達率の違いから若干2倍に足りないこと がわかります。
今度は、 速さ 2

で等速直線運動をしている質量 
の球D が球A に完全弾性正面衝突する場合を考えてみましょう。球D による 球A への完全弾性正面衝突
運動量保存法則 :

運動エネルギー保存法則 :

と置きます。これを運動量保存法則の式に代入します。


したがって、 次のようになります。

これを運動エネルギー保存法則に代入します。

したがって、 整合性があることがわかります。
球D が持っていた運動エネルギー :

球A が受け取った運動エネルギー :

エネルギー伝達率 :

質量は変わらないで速さが2倍になったときのエネルギー伝達率は変化しないので、 速さだけが2倍になると、 球A が受け取る運動エネルギーは2倍になります。
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