(2) 縮小写像の不動点
長方形の写真を縮小コピーし、 元の写真の上にはみ出ないように置きます。 すると、どんな置き方をしても、 必ず重なる点が1つだけあります。 これを 「 不動点 」 と言います。 このことを思考実験によって確信することにしましょう。
まず、 2分の1に縮小コピーした写真を上下転倒させることなく、 元の写真とそれぞれの辺が平行になるように置いてみます。 元の写真の4分の1の部分が隠れてしまいますが、 その部分が縮小コピーのどの部分になっているのかに注目してください。 それでは、 縮小コピー写真を平行移動させて、 下辺と右辺をそれぞれ元の写真の下辺と右辺に重ねてください。 この状態を 状態A とします。 このとき、 元の写真の右下角と縮小コピー写真の右下角の1点のみが重なっています。 次に、 縮小コピー写真の対角線が元の写真の対角線上になっているのを保ったまま、 縮小コピー写真を平行移動してみましょう。 すると、 元の写真と縮小コピー写真の重なる1点がそれぞれの写真の対角線上を右下角から左上角に向かって移動するのがわかります。
状態A に戻してください。 今度は、 縮小コピー写真の右辺が元の写真の右辺上になっているのを保ったまま、 縮小コピー写真を平行移動してみましょう。 すると、 元の写真と縮小コピー写真の重なる1点がそれぞれの写真の右辺上を右下角から右上角に向かって移動するのがわかります。 再び 状態A に戻してください。 今度は、 縮小コピー写真の下辺が元の写真の下辺上になっているのを保ったまま、 縮小コピー写真を平行移動してみましょう。 すると、 元の写真と縮小コピー写真の重なる1点がそれぞれの写真の下辺上を右下角から左下角に向かって移動するのがわかります。
ここで、 重なる1点が下辺の中点になるようにしてください。 それから、 今度は、 縮小コピー写真を真上に移動させてください。 すると重なる1点はそれぞれの写真の下辺の中点から上辺の中点へと向かって直線的に移動していくのがわかります。
この途中で一度移動をストップしてください。 そうしたら、 重なる1点を回転中心として、 縮小コピー写真が元の写真の上にはみ出ない範囲でいろいろと回転させてください。 180度回転できる場合は、 180度回転したところで止めてみてください。
今度は、 今と同じ思考実験を、 2分の1の縮小コピー写真を上下転倒させて行ってみます。 状態A から対角線を重ね合わせたまま移動するときは、 重なる1点は元の写真の対角線上を対角線の右下角から3分の1の所から3分の2の所まで移動します。 状態A から縮小コピー写真の右辺が元の写真の右辺上になっているのを保ったまま、 縮小コピー写真を平行移動させた場合は、 元の写真の右辺に平行で下辺の右下角から3分の1の所で交わる直線上を、 右辺の下から3分の1の高さから3分の2の高さまで移動します。 状態A から縮小コピー写真の下辺が元の写真の下辺上になっているのを保ったまま、 縮小コピー写真を平行移動させた場合は、 元の写真の下辺に平行で右辺の下から3分の1の所で交わる直線上を、 下辺の右下角から3分の1の所の真上から3分の2の所の真上まで移動します。 また、 重なる1点が元の写真の下辺の中点の真上でかつ右辺の下から3分の1の所と同じ高さにあるようにしてから、 縮小コピー写真を真上に移動させた場合は、 重なる1点は下から3分の2の高さまで真上に移動していきます。
2分の1の縮小コピー写真を上下転倒させて状態A にします。 そこで重なる1点を回転中心として180度回転しますと、 上下転倒していない状態になります。
以上の思考実験にて、 収縮写像の重ね合わせにより必ず1つの不動点が存在することが実感できたと思います。
では、 任意に重ね合わせられた写真と縮小コピー写真との不動点がどこにあるのかを求めることは可能でしょうか? 縮小コピーした写真の下辺を元の写真の下辺に平行になるように置いたときは、 先ほどの思考実験より、 不動点を同定することができることが解ります。 しかし、 そうでないときには不動点を同定することは不可能のように思えます。 でも、 いい方法があります。 それは 「 フルクタル作図法 」 です。 写真と2分の1縮小コピー写真が重ねてある場合、 次に、 同じ重なり方で2分の1縮小コピー写真の上に4分の1コピー写真を重ねて、 また、 その次に同じ重なり方で4分の1縮小コピー写真の上に8分の1コピー写真を重ねていき、 ・ ・ ・ ・ ・ と繰り返すと配置された縮小写真は不動点へと収束していきます。

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