(1) 掘り出し物
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さまざまな自然現象のしくみを解明していると、 たまにその中に既存の理論では説明できないものが出てきます。 そのときには、 既存の理論への執着を捨てて、 その現象の説明のための新たなアイディアづくりが必要になってきます。 このアイディアはいずれ新しい理論や法則の発見へと繋がります。 その例が フーコーの振り子 です。
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振り子が永久運動をしているとします。 その振動方向は、 地球の自転の影響を受けて、 少しずつ変動します。 そして何日か後に、 元の方向へと戻ります。 その間の振り子の先端が存在する位置の集合は、 丸いお皿の形になります。 振り子の振動方向が元に戻るまでの時間を
秒 とし、 緯度を 北緯
度 とすると、
と
との間には次のような関係があります。
この式を証明する実験ビデオを撮影するためには、 いきなり日本で撮影してはいけません。 まずは、 北極点に行かなければなりません。 北極点上の海上で振り子を東西方向に振動させて24時間持続撮影するのです。 えっと、 北極点における東西方向って、 いったいどの方向でしたっけ? この北極点での実験から、 振り子の振動方向は変化していないのに海のほうが24時間で1回転するので、 相対的に振り子の振動方向は変化しているように見えるのだということに気づくと思います。 そうしたら、 次は赤道上の海上です。 振り子を東西方向に振動させて24時間持続撮影するのです。 北極点と違って赤道上では海は振り子の振動方向 ( 東西方向 ) に対して全く回転しません。 したがって、 24時間後も振り子の振動方向は東西方向のままです。 そして赤道上に一泊したら次の日は、 振り子を南北方向に振動させて観察します。 それでも振動方向は変化しません。 そこで次のように考えます。
赤道上では、 振り子の振動方向が元に戻るまでの時間は、
である。
とは
のことである。
であるから、北極点上は
にならないか? つまり、赤道上が
で、 北極点は
にならないか?
そうなるのならば、 北極点の実験結果より、
である。
そこで、 一般的には、
になるはずである。これは、特殊なケースをまず見て、 そこから類推していくという方法です。 そうして、 いよいよ最後は北緯45度の海上での実験です。 振り子を東西方向に振動させたり南北方向に振動させたりして、 そう仮定したことが正しかったことを実験で確かめます。
フーコーはこのように考えて実験を行い、 その結果を世の中に発表したものと思います。 しかし、 最も大切なことは、 その後からなのです。 類推ではなく、 理論的な裏付けをとることです。 つまり証明することです。
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一般的にはフーコーの振り子はコリオリの力を用いて説明できることになっていますが、 フーコーの振り子はコリオリの力だけでは説明できません。 コリオリの力とは、「 回転座標系の中を移動する物質に働くみかけの力です。」振り子の重りは往復運動ですので、 たとえコリオリの力が働いたとしてもその方向が交互に逆になりますので、 一方方向への移動にはなりません。 したがって、 フーコーの振り子にはコリオリの力ではない別の「 みかけの力 」が働いているはずです。 実は、 フーコーの振り子の軌道を回転させる力は、 コリオリの力と遠心力の合力なのです。 このことについては、 剛体力学 > フーコーの振り子の軌道の回転座標系 をご覧ください。
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