半月は春分近くが最も高い
天文学と物理学 へ戻る
ばいおりんの日常的物理学文集 へ戻る
2014.03.10


  当直明けのご褒美だ、 夕方の5時半に堂々と職場を出る。 猫背になった背中を自宅の方に向けたなら、 いきつけの居酒屋へと一気に体を向かわせる。 いつの間にかこの時間でも夕日が見えるようになっていた。 春分も近いのだ。 淡いグレイの中、 ちらつきゼロの橙色のお盆が浮かんでいる。
  喫茶店ほどの時間を過ごした後、 ほろ酔い気分で妻の食事が待つ我が家へと向かう。 ライトをつけた一台の車が通り過ぎ去った後、 東西に走る大通りを斜めに横断する。 渡り切った瞬間に半月が目に入ってきた。 天高く天頂近くにある。 冬至近くではないのに変だなと思った。 空はまだ明るい。


  満月の南中高度は冬至近くが最も高いことはよく知られていますが、 かといって半月の南中高度もそれと同じではありません。 現在の日本では月の南中高度はおよそ次のようになっています。

  月は 日かけて相対的に地球の周りを一周しています。 したがって、 地球の太陽を回る軌道の内側に月が入る日はおよそ 日あります。 月が太陽と同じ方向にある瞬間を 日としますと、 半月が見える日は次のようになります。
    
満月が見える日の平均は次のようになります。
    
三日月が見える日は次のようになります。
    
  15や3になっていないのは、 月が太陽と同じ方向にある瞬間を 日としなかったためです。

  19時には、 三日月は必ず西の地平線の近くにあり、 半月は必ず子午線近くにあり、 満月は必ず東の地平線に近い所にあります。


  なぜ、 半月の南中高度が最高になったり最低になったりするのが、 満月の南中高度が最高になったり最低になったりするのよりも3カ月遅れるのでしょうか?
  月がおよそ地球の太陽に対する公転軌道上の地球の移動の後方にある時、 地球上で18時を迎える地点では、 月はおよそ南中している半月として見えます。 夏至と冬至の半月の南中高度はほぼ等しく、 それに比べ、 春分の半月の南中高度は高く、 秋分の半月の南中高度は低くなります。
  およそ月の太陽に対する距離から地球の太陽に対する距離を引いた値が最大値に近くなるとき、 地球上で0時を迎える地点では、 月はおよそ南中している満月として見えます。 春分と秋分の満月の南中高度はほぼ等しく、 それに比べ、 冬至の満月の南中高度は高く、 夏至の満月の南中高度は低くなります。
  したがって、 冬至近くは、 三日月から満月になるに従って、日々月の南中高度は高くなっていきます。

     

                       * この図では、地球の自転も公転も反時計回りです。

  地球の自転軸 は 地球の太陽に対する公転面 に対して 23.4 度 傾いています。 満月の南中から次回の満月の南中までの時間は、 およそ 29.5 日 です。 月の地 に対する公転方向は 地球の太陽に対する公転方向 にほぼ等しくなっています。 月の地球に対する公転面 は 地球の太陽に対する公転面 に対して 5.1 度 傾いており、その傾きの方向は 18.6 年 で1周しています。 ( 詳細は、 天文学と物理学 > 日月、どっちが高い? をご覧ください。 )

    追伸 : 半月 ( 上弦の月 ) は 春分のころの18時に天高く南中しますが、
       下弦の月は 春分のころの6時に天低く南中します。